昨日(5月1日)トランプ大統領はブルンバーグのインタビューで積極的に大手銀行のBreakupを考えていると述べた。
Breakupは「解体」という意味という意味だが、ここでは商業銀行と投資銀行(証券会社)の分離を指す。端的にいうと銀証分離だ。
トランプ大統領は選挙運動中「1993年に制定されたグラス・スティーガル法の21世紀版」を作りたいと述べていたが、その延長線の話だ。
グラス・スティーガル法は金融自由化の流れの中1999年に廃止された。グラス・スティーガル法の廃止は時々金融危機の原因呼ばわりされてきたことがある。
金融危機を引き起こしたのは、大手の商業銀行ではなく、証券・デリバティブの引き受けを行った証券会社が保険会社だったというのが実態だった。
トランプ大統領の話がすぐに法律改正に結びつくとは思わないが、米国金融界では大きな問題だ。
だが今の金融業界を取り巻く環境とグラス・スティーガル法が制定された時代の環境を較べて落ち着いた議論が必要なのではないか?と私は思っている。
それはフィンテックの登場で、金融というものが商業銀行や証券会社の独壇場ではなく、携帯電話会社やIT大手企業などが参加するオープンな市場になりつつあるということだ。
特に資金決済面ではその流れは強い。金融危機時に国が大量の税金を投入して、銀行を守ったのは「決済システム」を守るという面が強かった。多くの人がビッドコインを資金決済手段に使うようになると、金融を取り巻く風景は相当変わってくるはずだ。
フィンテックや人工知能の登場は銀行ビジネスを大きく変える可能性がある。
Breakupという言葉を日本の銀行に当てはめて考えると「銀証分離」ではなく、それこそ「解体」そのものを示唆しているかもしれない。