毎週木曜日に米国労働省が発表する失業保険申請数は雇用市場の先行指標である。失業保険申請統計には新規失業保険申請数Initial Jobless claimsと失業保険継続受給者数Continuing claimsがある。前者のデータの方が後者のデータより一週間早く発表される。
つまり新規失業保険申請者数の方がより「新鮮な」情報なのだ。だから市場は市場は新規失業保険申請者数に注目している。
昨日(5月11日)発表された新規失業保険申請者数(季節調整後)は、市場予想244千人を下回る236千人だった。毎週発表される失業保険申請者数はブレが大きいので、4週間の移動平均も着目されている。
新規失業保険申請者数の4週間移動平均値は243.5千人でこちらは5百人増加した。
一方4月29日の週の失業保険継続受給者数は61千人減少して、192万人に低下した。WSJによるとこれは1988年11月以降で最も低い水準だ。
また4週間に移動平均値で見ると1974年2月以降で一番低い数字になっている。
失業保険申請数の減少はレイオフが減少していることを示唆していて、米国労働市場が完全雇用の状態に近いことを示唆している。
また昨日労働省が発表した4月の生産者物価指数は、前年同月比2.5%上昇した。上昇要因の大きなものはエネルギー価格の上昇だが、エネルギー・食料品を除いた指数でも前年同月比1.9%上昇している。
連銀が注目しているのは消費者物価指数だが、当然ながら生産者物価指数と消費者物価指数の関連は強い。雇用と物価の面で連銀の政策金利引き上げの材料は整ってきたといえる。
もっとも為替市場ではこれらのことを織り込んでいるので、更にドル高が進むのかそれとも「噂の買い・事実の売り」でドルが下落するのかは微妙なところだが。