日経新聞などを見ると70歳まで働くことができるように人事制度や賃金制度を再設計する必要があるという論調が目立つ。それは概ね正しい。
一方で働く側で考えなければならないのはEmployability(雇用される能力)の問題だ。能力というと職業技術的なイメージを持つ人が多いかもしれないが、私は一種の「世渡り能力」が一番重要ではないか?と考えている。
では長く働き続けるための世渡り能力とは何なのだろうか?
実は私は昔銀行に勤めていた頃むしろ「世渡り下手」と言われていた。当時の規範で世渡りというのは一種の組織遊泳術と考えられ、長いものに巻かれて圭角を尖らさずに生きていくことと考えられていたのではないか?と私は考えている。その基準でが私は決して世渡り上手ではなかったと思う。
しかし銀行を退職して別の会社で働いたり、ボランティア組織を運営するようになって、私はそれほど世渡り下手でもないと考えるようになってきた。
「世渡り上手」の人の特性については専門家?の人が色々書いているが、私が大切だと考えているのは次のようなことだ。
- 環境の変化を自然体で受け入れる。
あらかじめ自分の中に物差しや鋳型を持っていてそれにはまらないものを拒絶するのではなく、環境変化をあるがままに受け入れようという姿勢だ。
- 世界には色々な価値観を持つ人がいることを受け入れる。
世界を旅すると色々な価値観・習慣に従って暮らしている人が多いことに気がつく。そして少し考えるとそれがその土地の気候風土に適応する最適な生活方法を生み出していることに気がつく。そしてそのことに気がついた時、相手の価値観を尊重しようという気持ちになる
- 論理的に自分を主張する。
自分の意見を主張しないで我慢するのは長続きしない。自分の意見を主張して「あの人はこんな考え方を持っている人だ」と理解してもらうことが人間関係が長続きするポイントだろう。だが主張は論理的でないといけない。
- 人の話を良く聞く。
自分と違う意見を持っている人の話を最後まできちんと聞くことだ。自分と違う意見の中から学ぶことは多い。
以上が私が多少心がけている世渡り上手になるポイントである。人によってはもっと沢山世渡り上手になる方法を列挙することもあるだろう。しかし自分にとって大きな負担(基本的に受け入れ難い方法)を背負ってまで世渡り上手になる必要はない、と私は考えている。