昨日の米国株式市場は強い雇用統計とパウエル連銀議長が政策金利引き上げについて市場動向を注視するという発言を受けて大幅に上昇した。12月の非農業部門雇用者増は市場予想18万人を大きく上回る31.2万人だった。また雇用者の時間給は昨年1年間で3.2%上昇。失業率は前月の3.7%から3.9%に上昇したが、これはサイドラインにいた失業者が求職のため雇用市場に戻ってきたことによるものでこれも好感された。
年が明けて4日目にしてようやく明るい兆しが見えた米国株式市場だが、このまま上昇トレンドに入ると予想する人よりもまだまだ振幅が続くと見る人が多いようだ。私も米国景気の底は固い、と思っているもののまだしばらく上下ブレの大きい相場が続くと予想している。
その大きな理由は「株式相場が上昇するとトランプ大統領が強気になる」からだ。
トランプ大統領は株価は自分の人気のバロメーターだと考えているから、相場が上向くと強気になり、メキシコ国境での壁建設予算を確保しようとするしまた中国との貿易交渉についてもハードポジションを取り続ける可能性が高い。
メキシコ国境での壁問題が長引くと政府機関の一部の窓口閉鎖が持続する。中国との貿易交渉の長期化は世界経済の減速を懸念する投資家をリスクオフモードに追いやる。
昨日の株高は強気相場復活のプレリュードというよりは、新たな政治的リスクをかきたてる可能性がありそうだ。