マスコミの報道を見ていると、反転攻勢に出たウクライナ軍はロシア軍の抵抗に会い、当初の予定より前進が遅れている。
そんな中滅多に意見を公表しない英国秘密情報局のリチャード・ムーア長官が「プーチン大統領を取り巻くサークルに深い亀裂が生じ、ロシア軍がウクライナで勢いを取り戻す可能性ははとんどない」と述べた。
彼は「ウクライナはこの1カ月でロシアが過去1年間に占領した領土より多くの領土を取り戻した」「ウクライナは損失を抑えるためゆっくりしたペースで反撃を進めている」と述べた。
そしてムーア長官はロシア国民に向けて「歴史の間違った側に陥ることを避けるために、クレムリンに対しスパイをするように」呼びかけた。
M16の名前で知られる英国秘密情報局が公開スピーチを行い記者からの質問を受け容れるのは新しい展開だ。そもそも1992年まで英国政府はM16の存在を公式には認めていなかった。
だが今M16はその姿を公に新しいスタッフを採用しようと考えている。
その背景には、人工知能の活用などを含めて、これからの戦争がますます情報主導型になることがあるだろう。
そう考えると「ロシア軍が優勢を取り戻すことはない」というムーア長官の言葉自体西側同盟諸国に対する援護射撃であるとともに、プーチンを取り巻くサークルの切り崩しを狙った諜報活動だという面がある。
もっともこのような予想は自己実現的でもあるので、結果としてロシア軍が勢いを取り戻すことはないという判断は妥当かもしれない。