一部にマイナンバーカード返納の動きがあるようですね。
政府の「健康保険証のマイナンバーカードとの一体化」に抗議する目的とか「マイナンバーカードを持つことによるリスク回避」が原因と言われています。
でもリスク回避の観点からすればマイナンバーカード返納はメリットよりデメリットの方がはるかに大きいでしょう。
そもそもマイナンバーカードを持っていることによるリスクとは何でしょうか?
よく「個人情報が漏洩するリスクがある」ということを耳にしますが、マイナンバーカードを返納しても、マイナンバーは残ります。マイナンバーがある限り、役所などの誤操作により、自分のマイナンバーと他人の情報(健康保険証など)が紐づけられるリスクは残ります。そのリスクはカードを返納しても減るものではないでしょう。
「マイナンバーカードを持ち歩いて紛失や盗難にあうリスクがある」という意見も耳にします。確かにそのリスクはありますが、持ち運ばざるを得ない重要なものは総てそのリスクを伴っています。運転免許証、クレジットカード、銀行のキャッシュカード、スマートフォンなど総てのものは紛失、盗難リスクを持っています。紛失した時のリスクや不便さはマイナンバーカードよりスマートフォンの方が大きいでしょう。
紛失・盗難リスクを避ける方法は「持ち歩かない」ことです。すでにAndroid端末ではスマートフォンからマイナンバーカードを読み取らずにマイナポータルにアクセスし、様々なマイナンバーカード関連サービスを利用できるようになっていますから、マイナンバーカードを持ち歩く必要性は少し減ったといえるでしょう。今年5月に河野デジタル大臣は「2024年4月にはスマートフォンを健康保険証として使えるサービスの開始をめざす」といっていました。昨今のもたつきを見ていると来年4月は難しいでしょうが、いずれはスマートフォンが健康保険証を代用する日が来ると思います。
そうするとマイナンバーカード持ち歩きのリスクはスマートフォン持ち歩きのリスクに置き換わる訳ですね。
また「マイナンバーカードには有効期限があるので更新に時間がかかる」というデメリットを指摘する人がいます。これはそのとおりだと思います。
世の中のものは「一方的にメリットがある」とか「一方的にデメリットがある」というものは少なく、比較考量してメリットがデメリットより大きければ採択し、少なければ採択しないというのが賢い対応方法です。
マイナンバーカードのメリットについては「顔写真付き本人確認書類」「コンビニに各種証明の取得」「マイナポータルで年金情報の確認」など色々なものがあります。
これらの機能開発には、間違いなく我々納税者が払った多額の税金が使われていますし、今後も色々な機能開発に税金が使われ続けるでしょう。
それなのに、マイナンバーカードのメッリトを刈り取らずに、税金だけ取られてお終いというのはそろばんに合いませんね。
リスク回避の観点からは「時々マイナポータルをチェックして紐づけられている自分の情報が正しいかどうか?」をチェックする位の方が良いでしょうね。