先週のエコノミスト誌のトップ記事はChina buys up the world and the world should stay open for businessだった。主旨を一言でいうとエントリーのタイトルとなる。
記事によると、今中国企業は国際的なビジネスにおいて6%の資本を保有している。歴史的に見るとこの割合は低い。英国と米国はピーク時にそれぞれ約5割の資本を保有していた(英国は1914年、米国は1976年)。中国は今のところ蓄積された巨大な資本の大部分を先進国の国債に投資しているが、将来はその資本を企業の買収に使い、先進国の貨幣価値の下落と起こり得るデフォルトに備えることはあり得るだろう。
中国資本による企業買収に対する懸念は、中国企業が外国企業を買収することで、資源をマーケットではなく、政府の政策的判断で配分するのではないかというものが主なものだ。オーストラリアとカナダは、かっては企業買収に開放的だったが、今は中国国家が支援する企業による買収のハードルを高めつつある。
だがエコノミスト誌はそのような考え方は間違っているだろうと述べる。その根拠は大部分の中国の企業は、単に外国に足ががりを見つけようとしているだけであり、一番活発に買収を行っている天然資源分野でも、市場をコントロールする供給量の確保からはほど遠いと同誌は述べる。
また中国のシステムがしばしば外国人が考えるほど一枚岩ではなく、国営企業は自国内で競争があり、意思決定は独裁的というよりは合意形成型だとエコノミスト誌は述べる。
中国企業は世界の勢いを失った会社に新しいエネルギーと資本をもたらす可能性がある。また中国企業が外国で成功するためには、現地の管理職を採用するなどの現地化が必要だ。そして中国企業の国際投資が増えるに従って、その利益は世界の利益と調和していくだろうとエコノミスト誌は締めくくっている。
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記事が指摘するように中国は確かに一般に思われるほど一枚岩の国ではない。例えば反日感情が高まる中だが、上海市のトップは「日本館は建設中、ホコリや乱雑さがなく、最も優れていた」と高い評価を下していた。
柔らかな目で中国問題を見ていきたいと思った次第である。
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