金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプだから裏表あり?

2025年02月09日 | うんちく・小ネタ
 トランプ大統領の言動を見ていると「表裏比興 (ひょうりひきょう)」という言葉を思い浮かべますね。表裏比興 とは、知略はあるが狡猾な陰謀家で言動に裏表があるという意味です。これは秀吉が真田正幸を評した言葉として有名ですね。信州の小さな大名だった真田正幸は武田家の家臣でしたが、武田家滅亡の後、徳川・北条・上杉にくっついたり離れたりしたので表裏比興 と呼ばれたのですね。しかし領民や家臣からは信頼さてていたのでしょう。そうでなければ少人数で徳川軍を二度にわたり撃退することはできませんからね。
 さてトランプ大統領ですが、自国の要求を通すために関税引き上げを武器に交渉を進めている姿を見ると「義」の人というよりは「表裏比興 」の人という感じがしますね。
 まあトランプだから裏表があっても良いか?(ダジャレですみません)
 先日石破総理大臣と会談した時、日本製鉄のUSスチール買収案件について「買収でなくて投資であればよい」と述べたそうですが、どうもUSスチールというやや落ち目の会社に対して日本製鉄には多額の投資をさせながら、自分はちゃっかり政治ショーの幕引きを図ろうとしている可能性があると私は見ています。トランプ大統領の盟友ウィルバー・ロスは先月「日本製鉄によるUSスチールの買収に米国の国家安全保障上のリスクはない」と述べています。
 心情的な問題を別にすれば、世界ランキング20位以下のUSスチールが日本の会社に買収されようがされまいが米国経済や国家安全保障に与える影響は微々たるものでしょう。それよりは「このディールをまとめて日本側に恩を売る」ということと選挙戦で「USスチールのディールを阻止する」と述べたレトリックの落しどころをつけるという一石二鳥を狙うトランプ大統領は中々表裏比興 の人だと私は見ています。表裏比興 とは一般に悪いニュアンスが伴いますが、領民や家臣団からは強い支持を受ける場合があります。
 一国の利益を守るためには形振り(なりふり)構わず、これが表裏比興 の君主なのかもしれません。
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