金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

株式相場の先読みか?偽りの夜明けか?

2008年05月02日 | 株式

ゴールデン・ウイークの谷間だが、株式市場は元気で日経平均は1万4千円を回復した。明日から京都に旅行するなど何かと物入りな時期だけに、株式相場が上向いているのは心強い。ガソリン暫定税率の復活や食品高など余り良い話がない中で相場が堅調なことは明るい話だ。ところで日本の株式市場が好調なのはウオールストリートが活況だからだ。住宅価格の下落が止まらないなど米国の実体経済の不況色が強い中、株価はどうして上昇するのだろうか?

一つの理由は「株はうわさで買って事実で売る」という格言が示すとおり、株式市場は実体経済に先行する。株価は先行指標なのだ。ニューヨークタイムズ(NT)によると、ここ数週間の間に株式市場は11%程上昇しているし、ジャンクボンド市場はラリー(上げ相場)だし、クレジット・デリバティブもUp、Up・・・だ。

ウオール・ストリートのこの楽観ムードに政治家も共鳴している。ポールソン財務長官(もっともこの人はかってゴールドマンのトップだったのでウオール・ストリートそのものという気もするが)は「我々はこの問題の始まりというよりは終わりに近いところにいる」と火曜日のブルンバーグテレビのインタービューで述べている。

バンクオブイングランドが「モーゲージ証券の価格は下落し過ぎで、向こう数ヶ月で段々と値段は改善する」と述べたのもサポート材料だ。これが正しいとすると、モーゲージ証券等の償却を進め、過去に大きな損失を立てた金融機関の業績はV字型の回復をする可能性が高い。みずほGなどの株価が急回復しているのは、投資家達の間にそのような見方が広がっているのかもしれない。

「投資家は結局のところ将来に期待することで金を儲けるが、対称的に労働市場は他の経済の局面より遅れて改善する」とNTは述べる。しかし専門家によると二つのサイドは最終的には収斂する。

株式市場が目先の値上がり分を放棄して弱気相場に戻るか、減税効果と金利引き下げ効果が効いて経済が回復するかいずれが起きるのだろうか?前者だとすると株式市場の活況は「偽りの夜明け」だし後者だとすると株式相場は先読みをしたことになる。

私自身は一直線に相場が回復するとは見ていないものの、流動性が回復してくると売られ過ぎていた証券類の価格は急回復する可能性は大きいと踏んでいる。

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