金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ドイツ国債利回り2%切れ、日本型への懸念増大

2011年09月06日 | 投資

先々週から先週にかけて、日米で大型台風が猛威を振るった。だが欧州の金融界を襲っている台風はもっと規模が大きそうだ。

昨日の欧州市場では、イタリア10年国債の利回りが5.56%に急上昇し、一方ドイツ10年国債は史上初めて2%を切り1.85%まで下落した。これは先週金曜日に1950年以降初めて2%を切った米国債に追随する動きだ。デフォルト懸念が高まるギリシアの1年国債の利回りは82.1%に達している。

価格が急落している南欧諸国の国債を抱える欧州の銀行に対する懸念が高まり銀行株は急落している。

FTによるとドイツ銀行のアッカーマンCEOはフランクフルトでの銀行カンファレンスで「自明の理とは言わないが、明らかなことは多くの銀行はポートフォリオで抱えている国債の含み損を償却することはできないだろう」と述べている。

FTは「数ヶ月後に振り返るとドイツ国債の2%という利回りは非常に魅力的に見えるだろう」というロイヤル・バンク・オブ・カナダのストラテジストの意見を紹介している。

市場は10年国債利回りが2%を切った日本の過去を重ね合わせているようだ。1997年に2%を切った日本国債利回りはその後、ごく短い期間を除いて2%以下で推移している。欧州経済が超低成長に陥り、株式リターンの低迷が続くとドイツ国債や米国債のようにリスクが少ない国債利回りは超低空飛行が続くという予想が働いている。

☆     ☆     ☆

台風の話に戻ると、先週末私は八方尾根から唐松岳に登る予定で八方池山荘まで登った。だがそこから1時間ほど登って引き返した。風雨をついて登る理由はない。自然の猛威の前で人間は余りに小さく、危険を予防するのは最新の雨具ではなく、危険に近寄らないことである。

ドイツのショーブル財務相はFTに「倹約政策に固執することが欧州の回答だ。今の短期間の痛みと長期的な収穫とのトレードオフである」と述べている。台風のアナロジーでいうと、これはいわば悪天候の時はじっとしているという対応策。だが多くの投資家はこの意見に反対で、中央銀行に景気刺激策を期待している。

中央銀行の景気刺激策は、最新の雨具に例えることができるだろう。通常の風雨であれば、今の雨具は凌ぐことができる。しかしやはり人力を超えた暴風雨には立ち向かえない。欧州に始まり世界を吹き荒れる暴風雨の大きさは雨具で凌げるものだろうか?

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