学生時代、数学は比較的得意科目だったが何十年も使わないと忘れるものだ。特に三角関数など金融では使うことはないが、山、特に山スキーをやると滑降斜面の傾斜の計算に使ってみたくなるものだ。そこで難しい原理は別として簡単なソフトを使って私が実際に行っていることを紹介しよう。
地図ソフト カシミール
カシミールは山岳展望・距離計測・断面図作成等ができるソフトウエアだ。私は数年前実業之日本社から2千円程度で出ていたCD-ROM付解説書を買い、時々活用している。
左の図はカシミールを使って、先日滑った小蓮華岳頂上から金山沢の下部までの断面図を作ったものだ。
ところで滑降上問題になるのは、平均斜度ではなく最大斜度である。その斜度はどう求めると良いか?カシミールは自動的に高度差、直線距離、沿面距離、仰角を計算してくれる。
金山沢で一番傾斜が強いのは、稜線から滑り出すところである。ここをカシミールを使って分析すると標高差が446m、水平距離が704m、仰角は32.37度である。この仰角は標高差と水平距離からタンジェントを計算していることになる。
まあこれで目的は達成なのだが、カシミールがなくても角度計算が出来る様にと今度はエクセルの関数とゴールシーク機能を使って角度計算をすることにした。
まずエクセルのあるセルに=TAN(RADIANS(あるセルを引用))と入力。これはラジアン表示でタンジェントの値を返す関数の組み合わせだ。例えば引用するセルに45と入力すると、関数を入れたセルの値は1になる。これは直角二等辺三角形のタンジェントを計算したものである。
次に先程の実例に戻ると、この斜面のタンジェントは446÷704=0.6335・・になる。つまりタンジェントが0.6335になる角度を求めると良い訳だ。エクセルにはゴールシークという便利な機能がある。これは計算式の中に含まれるあるセルに数値を入れながら収束計算をして、近似的に解を求める機能である。目標値を0.6335にして、ラジアン角をゴールシークで求めると32.36度という答が返ってきた。
傾斜が総てではないが・・・・
雪崩の可能性は傾斜だけではなく、地形・植生・降雪状態・気温・日照・外的衝撃等々様々な条件が関与する。とはいえ傾斜の影響は相当大きいものがあるだろう。カシミール等のツールを使って、滑降する斜面の地形を分析することは山スキーヤーにとって意味のあることだと私は考えている。エクセルの機能を使い、頭の体操にもなるという余禄もあるのだから。
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