昨日(9月29日)日銀の須田審議委員が来年3月までに日銀の量的緩和の解除の可能性を示唆したことから、中期債が急騰した。このニュースは日経新聞にも出ているが、ウオール・ストリート(アジア版)の方が詳しいのでポイントを紹介しておこう。それにしても日本の金融市場を理解するため海外経済紙を読む必要があるとは少し残念である。日経新聞にも頑張って欲しいものだ。
以下記事の概要
- 須田委員は「何時日銀が量的緩和を終了できるか予測することは極めて難しいが、我々は現在の緩和政策を今年度中に止めるかもしれないし止めないかもしれない。(may or may not end the current esay policy)」と記者会見で述べた。また須田委員は記者会見の前の高知の講演会で「緩和政策の終了は近いかもしれない」と述べている。
- 須田発言を受けて10年国債指標銘柄の利回りは0.07%上昇して1.47%になった。これは8月23日以降一番高い利回り。また5年債は過去13ヶ月で一番高い利回りの0.805%へ急上昇した。
- 三菱証券の長谷川ストラテジストによると「須田発言に市場は驚いた。何故なら来年3月に緩和政策解除というのは市場が予測していたより少し早いからだ」と述べている。
- みずほ証券の上野エコノミストは「これは日銀が出来るだけ早く量的緩和政策を終わらせたいというというメッセージであり、この考えに対する市場の反応を図っているのだ」と言う。
- 須田委員は量的緩和のターゲットを引き下げることには反対で「緩和政策の解除基準~年間の消費者物価変動がゼロまたはプラスになる~が達成されるまで現在の残高目標~30兆円から35兆円~を維持するべきだと述べている。
これから債券市場は緩和政策の解除に向けて神経質な動きを見せると思うが、私見では債券金利特に長期債の急速な上昇は起こらないと見ている。これは簡単に言うと需給バランスの問題である。つまり金融機関にとって貸出需要はそれ程伸びる可能性はなく、債券に資金を振り向けざるを得ないのである。従って短期金利の上昇が起きた場合イールドカーブの傾きが水平化する=フラット化が起きる可能性が高い。このフイールドカーブのフラット化にどう対応するかが金融機関のリスク管理の腕の見せ所となるだろう。