金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

マルキール氏、新興国株式投資のメリットを強調

2011年09月20日 | 投資

「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者バートン・マルキール氏が、FTに「エマージング株式はより高いリターンと少ないリスクを提供する」Emerging stocks offer better returns and less riskというエッセーを寄稿していた。

個人的にいうと、欧州のソブリン問題の出口が見えない中、株式投資の意欲は湧かないが、そこは機関投資家向けのメッセージということで理解した。つまり年金基金等の機関投資家の場合、運用環境の良し悪しにかかわらず流入してくる資金を運用する必要があるからだ。

著者は「異なる国の間の相関関係は高まっているが、株式投資のパフォーマンスには大きな差がある。これから先、異なる国での株式投資パフォーマンスに大きな影響を与える要因は3つある」「それはその国の政府と民間の債務レベル、人口動態の動向、資源である」と述べる。

債務について、IMFはG20メンバー国の政府債務(対GDP比率)は、2010年の100%から2015年には125%に拡大すると予想している。これは氷山の一角に過ぎず、地方政府の債務や積立不足のソシアル・セキュリティ(国民年金の一種)を加えると先進国の債務負担は膨大なものである。

これに較べて新興国の公的債務はGDPの3分の1以下で2015年までには4分の1に低下すると予想される。また公的債務の積立不足は先進国に較べると極めて小さく、家計のバランスシートも健全である。

人口動態も新興国に有利である。人口統計学者が使う依存率、つまり退職者と現役の比率でみると、日本では2025年までに比率は1対1になる。イタリア、フランス、ドイツでも1対1に近づく。このように退職者の現役依存度が高まることと国の債務の増加や成長鈍化の間には相互作用がある。

資源の問題については豊富な天然資源の供給と価格下落の時代は終わった。中期的に見るとコモディティ価格が上昇する可能性は極めて高い。このことは石油や金属だけでなく、農耕地や豊富な水資源を持つ国も優れた長期投資のチャンスを持つことを意味する。

最後にマルキール氏は「新興国投資には政治的リスクが伴うが、米国・欧州・日本には異なったリスク~そしてそれは新興国のリスクより高い可能性がある~がある」「私は大部分のポートフォリオが世界の中でもっともダイナミックな成長をとげる市場を著しくアンダーウェイトしていると思う」と結んでいる。

☆   ☆    ☆

パッシブ運用の優位性を説いたことで有名なマルキール氏が何故この時期に新興国投資のメリットを強調したのか背景は分からない。ただ「資産配分の違いがポートフォリオのパフォーマンスの違いの主な要因となる」という氏の考えからすると、現在の相場は新興国株式の比率を高めるチャンスと考えられるのかもしれない。

この夏明らかになってきたことは、欧米経済の一層の減速とそれを織り込んだ長期金利の低下である。米国に続いてドイツの長期国債も2%水準となってきた。長期金利は株式投資を含む資産運用利回りの目安となるもので、平均的は資産運用利回りは国債金利+アルファとなる。つまり低成長と低金利下、先進国で資金運用で高いリターンを期待することは極論すると不可能になったというべきだろう。

☆   ☆   ☆

では先進国から新興国に投資して高いリターンを持続的に上げることができるか?というとこれまた疑問を感じざるを得ない。新興国市場に有利な資産運用機会があると、多くの投資家が認識した時には大量の資金が流入し、バブルが発生するからである。また為替リスクの問題もある。「本国での期待利回りの低下を新興国投資でカバーする」というのは、少しリスキーである。自国の成長率と金利の低下に合わせて、期待利回りを下げるというのが賢明な姿勢なのだろう。

慶応大学の池尾教授は「質素で退屈で憂鬱な低成長の時代を甘受せざるを得ずそれは相当期間続く」と述べている。まったくぱっとしない話だが現実はそのようなものかもしれない。

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ブラッスリー ル・リオン、空いていて美味しい不思議な店

2011年09月20日 | レストラン・飲み屋

先週末池袋で映画「ライフ」を見た後、昼飯を食べに池袋西武の8階・ダイニングパークに寄った。うなぎか天ぷらを食べる予定だったが、三連休なのでこれらの店はもの凄くこんでいた。1時間待ちのプラカードを持った店員さんが、行列の最後に並んでいる。日本食は諦めて、中華でもイタリアンでも良いと思って、空いている店を探すが店の前には行列が出来ていて、とても簡単には入れそうにない。

半ば諦めてダイニングパークの西の端まで来た時、空いている店を見つけた。ブラッスリー ル・リオンという「カフェ」である。黒板にランチメニューが書いてある。だが店内はガラガラだ。その隣の店は行列が出来ているのだが・・・・

回りの店が混んでいる中で空いている店に入るには多少勇気がいる。「不味いからお客が少ない」のではないかとか「高いのではないか」などと疑心が起きる。

だがランチメニューの大山鳥のグリルを食べてこれらの心配は杞憂に終わったことが分かった。鳥のモモ肉はしっかりしていて美味しかった。付け合せのジャガイモとチーズも良かった。パンはフランスパンをオリーブオイルで頂いた。1,300円の値段からすると上出来である。

で、どうしてこの店空いていたのだろうか?推測するに主食となるご飯がないからではないか?それと「カフェ」というのが池袋っぽくなくてちょっと敬遠されるかもしれない。表参道辺りなら人気の店になりそうだが。

僕らは食べなかったけれど、ショーケースにあったイチゴのタルトでも食べてコーヒーを頂くとかなり満足度の高いランチになると思う。

空いていてもお値打ちなお店があったので紹介した次第である。

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信用懸念でシーメンスは欧州中銀へ預金シフト

2011年09月20日 | ニュース

民間銀行の信用リスクが高まる中、ドイツのコングロマリット・シーメンスが2週間前にフランスの銀行から預金を欧州中銀に移したというニュースがFTに出ていた。

移し元の銀行名は明らかでないが、移した資金は最大60億ユーロということ。中央銀行は事業会社の預金は受け入れないが、シーメンスは傘下に銀行を持っているので、その銀行経由で欧州中銀に預金をした。

シーメンスが預金を移したのは安全性の観点だけではない。欧州中銀の預金の方が市中銀行より高いからだ。欧州中銀の1週間の預金金利は1.01%で市中銀行のオーバーナイト金利0.95%より高い(1週間ものとオーバーナイトを比較するのはおかしいがFTの記事のとおりなのご容赦を)。

欧州中銀は高い金利で預金を集め、南欧諸国の国債購入を続けている。欧州は今週も緊迫した状況が続きそうだ。

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映画「ライフ」、動物は高等になると世知辛くなる?

2011年09月19日 | 映画

18日日曜日ワイフと池袋で「ライフ」を観た。象、チーター、カイツブリ、イルカなど多くの種類の生物が食べ物を求め、求愛し、子供を育てる姿が中々感動的だった。一つ一つのエピソードについては、BBC放送やNHKの番組などで似たようなシーンを観たものもあるのだが、まとまると圧巻である。

小さなカエルが生んだ卵を背中に乗せて、高い木の上に生えた草の葉の水たまりに運んでいく姿を見るとドーキンスの遺伝子論を思い出した。20世紀後半の偉大な生物学者リチャード・ドーキンスは「個体は遺伝子の乗り物に過ぎない」と喝破したが、自分が生んだ卵を運ぶカエルを見ているとまさにその思いを強くする。

日本からは地獄谷で冬温泉に入り寒さをしのぐニホンザルが紹介されていた。興味深いのはここのニホンザルの群れには強いファミリーと弱いファミリーがあり、弱いファミリーは温泉に入れて貰えないのである。寒くても温泉の縁で耐えている猿を見ていると動物は進歩するとともに世知辛くなり、差別化が始まると改めて思った。

「ライフ」の最初のエピソードは極寒の南極の氷原で身をもって子供のアザラシを寒風から守る母アザラシの話だった。総てのアザラシは等しく寒風を耐えねばならない。一方寒い冬を温泉でしのぐ方法を発見した猿の世界では力のあるものは楽な生活を送り、力のないものは辛い生活を送ることになる。進化は総て美しいものとは限らないようだ。

そして人間の世界を見ると、育児放棄や幼児虐待など動物の世界では考えられないことが起きている。「命をつなぐ」ということの尊さと重さを教えてくれる、「ライフ」とはそんな映画である。http://onelifemovie.jp/index.html

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荒川50kmサイクリング、暑さで参りました

2011年09月18日 | サイクリング

9月17日土曜日三連休の初日。この三連休は遠出する予定はない。夜半かなり強い雨が降ったが、天気はそこそこ良さそうなので久しぶりに荒川にサイクリングに出かけることにした。ただし秋ヶ瀬公園から森林公園を往復するには暑すぎてへばりそうなので、中間地点のホンダエアポートから森林公園を往復することにした。

車にクロスバイクを積んでエアポートのある川島町に向かうが道はすごく混んでいた。エアポートの広大な無料駐車場の片隅に車を止めて荒川の上流を目指す。追い風が吹いていて気持ち良く走る。日頃は自宅から自転車で出発できる多摩湖自転車道を走ることが多いが、一般道を横断するところが多いのが欠点だ。それに比べて荒川自転車道は比較的一般道との立体交差が整っていて走り易い。とはいうものの鳥羽井沼を過ぎてしばらくしたところで、堤防を離れて右に曲がるべきところを真っすぐ行って川島町自転車道の方に行ってしまった。この自転車道は夏草が刈られておらず走りにくい。

暫くブラブラして荒川サイクリングロードに戻った。堤防の上には曼珠沙華が咲き、花の向こうには刈入れが済んだ田んぼが広がっている。荒川は広大である。

Higannbana

しかし日差しが強くなり暑くなり水分補給の頻度が増えてきた。11時30分漸く森林公園手前の交差点に到着。交通渋滞と道迷いのため大幅な遅れだ。

3時には自宅に帰る必要があるので、今日はここで引き返すことにした。ここで毎トラックを起動して走行ルートを地図にプロットする。


より大きな地図で 2011-09-17 11:20 を表示

帰路荒川の堤防に戻ってくると、強い向かい風が吹き付ける。往路で助けてくれた風はこんどは重荷である。暑さと強い逆風で僕の自転車は時速20kmを出すのが精一杯だ。時々ロードレーサーに抜かれた。この逆風の中をスイスイ走る脚力に脱帽した。

ホンダエアポートに戻るとサイクルコンピュータの走行距離は50kmを超えていた。エアポートと森林公園の距離は片道25km弱だから、真っ直ぐ走っていたら森林公園が楽に往復できたので少し残念だ。

それにしても今日は暑さで参った。もう少し涼しくなってから、再度トライしついでに森林公園の中の自転車コースも走ってみようと考えている。

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