金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

金融引き締めで賃上げ圧力が起こすインフレを止めることができるか?

2021年12月17日 | 投資
 昨日(12月16日)の米国株は前日の反動でハイテクの売りが目立ち、ナスダックを筆頭に値を下げた。ボラタイルな相場が続くことは予想されているので驚くほどのことはないだろう。
 懸念することがあるとすれば、金融引き締め策で労働市場に起因するインフレを抑制できるかどうかということではないだろうか?
 先週の新規失業申請数は52年間で最低だったその前の週より1万8千件増えて206千件になったがまだ歴史的に低い水準にある。
 求人数は求職者数を約400万上回っている(WSJ)。
 米国の11月のインフレ率は6.8%と過去39年間で最高のレベルに達した。これは住宅、自動車など耐久消費財の需要が供給を大幅に上回ったことが原因で、その背景にはサプライチェーンの破綻や労働集約的業界からの労働者の離脱がある。
 コロナウイルス感染拡大時に欧州などに較べ、米国で失業率が一気に上昇したのは、米国の雇用制度の特徴にある。企業は労働者を解雇し、解雇された労働者は相対的に手厚い失業保険の給付を受けた。これに対し、欧州ではコロナで余剰になった労働者を自宅待機などの方法で一時的に戦力外に置いた。経済が回復基調になると欧州の企業は自宅待機組を前線に復帰させることができるが、米国では失業者を再雇用する必要がある。
 ところが再雇用しようと思っても、再雇用が容易ではない。現在米国では求人数が求職者数を約4百万件上回っていると言われているが、その多くは飲食業など労働集約的で低賃金の業種だ。それらの業界を辞めた(あるいは解雇された)人たちは単純に同じ業種に戻りたいとは考えない。より賃金の高い仕事を求めている。またコロナ感染リスクが依然として存在することからしばらく職場復帰を敬遠する人も多いようだ。
 この結果労働需給はひっ迫している。
 第3四半期の米国の時間給の上昇率は年率約6%だった。
 パウエル連銀議長は以前はインフレは一時的だと述べていたが、現在はインフレは持続する可能性があるとスタンスを変えている。スタンスを変えた大きな原因は賃金上昇圧力がインフレを持続化させる可能性があると判断したことによる。
 現在のアメリカの総労働力はコロナ以前より5百万人近く少ない。賃金引上げ圧力が緩和するには、労働参加率が高まる必要があるのだが、金融政策でそれが可能になるのだろうか?
 金融引き締めはインフレが鈍化するだろうというマインドを消費者や企業に与え、買い急ぎを抑制する効果はあるだろう。だから消費財に対する需給が緩和し、インフレが鈍化する可能性は高い。
 ただしそれだけで労働需給が改善するかどうかは分からない。
 起こりうるもう一つの可能性は、アメリカ社会が労働力不足に対応するために、一層AIやロボット化を推進したり、サービスメニューの単純化を図るといった合理化路線を推し進めることだ。
 仮に数百万人の一旦労働市場から脇道に逸れた待機組の何割かがリカレント学習等で新しい産業構造に対応する人材として復帰してくるならば、アメリカ経済はコロナ前より強くなる可能性が高い。
 まあこれは楽観的過ぎる味方かもしれないが、日本などに較べるとアメリカが強くなる可能性が高いことは間違いないだろう。

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連銀のインフレ政策明確化で株価は反発

2021年12月16日 | 投資
 昨日(12月15日)午後米国株は大幅に反発した。 S&P500は1.6%は1.6%、ダウは1%、ナスダックは2.1%上昇した。
 これは2日間のFOMCの後の連銀声明やパウエル議長のコメントを聞いた投資家が連銀のインフレ施策が明確化したことを歓迎したからだ。
 投資家は何よりも不確実さを敬遠する。今週米国株が下げていた原因は、インフレ懸念そのものよりも、インフレに対する連銀の姿勢を確認したいという気持ちが強かったからだ。
 連銀は債券購入プログラムの終了を当初の2022年6月から3月に前倒しすることにした。このため債券購入額の削減幅は月150億ドルから300億ドルに増額されることになる。
 連銀はインフレ見通しについて今年年末は4.4%、来年末は2.7%と発表した。
 債券購入が終了する来春から政策金利は年内に3回引き上げられることが予想される。
 昨日の株価反発は、連銀の政策転換がはっきりしたことで投資家に安心が広がったことを意味するし、コロナ変異株がもたらすリスクは経済成長に対する懸念よりは、インフレを加速することにあることもはっきりしてきた。
 米国経済が連銀のサポートを必要としないレベルまで回復しさらに成長を続ける見通しがはっきりしたことは投資家にとっては朗報である。ただし来年は今年のような株価急伸が望めないことだけは確かだろう。欲をかかずに目標リターンを低めに抑えることが向こう1,2年のポイントである。

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米11月の卸売物価前年比9.6%上昇

2021年12月15日 | 投資
昨日(12月14日)米労働省が発表した先月の卸売物価は、前年同月比9.6%上昇した。これは2010年に記録が始まって以来最大の上昇幅だった。
卸売物価の急激な上昇はインフレが続くことの証拠と受け止められた。
市場では連銀が債券買取プログラムを3月に終了し政策金利引き上げを急ぐという観測が高まっている。
このため株が売られた。S&P500は0.7%、ハイテク銘柄が多いナスダックは1.1%、ダウは0.3%下落した。
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荷物の中国語は「行李」、日本の行李は?

2021年12月14日 | うんちく・小ネタ
 ボランティアで日本語を教えているKさんの中国への引っ越しが決まりそうだ。Kさんのご主人は日本人で、今広東に単身赴任している。Kさんは中国に引越するためのビザを申請していたがコロナのためなかなか認可が下りなかった。
それが年末になって急にビザが降りることになった。今日の日本語レッスンが最後から2回目になるだろう。
日本語と中国語で同じ漢字を使いながら意味がちがう言葉の話題になった。
Kさんが戸惑ったのが「荷物」という言葉だった。中国語では荷物のことを「行李」というそうだ。「行李という言葉は日本語にもあるけれど、日本の行李は柳行李というように柳や竹・籐などで編んだ箱を意味するよ」と私。
でも言葉で説明してもうまく伝わらない。現在の中国では柳行李を目にすることがないのかもしれない。こんな時はスマートフォンのGoogleに向かって「柳行李」と話かけるに限る。そうすると行李の写真がでてくるので一目瞭然だ。
 Kさんの日本語はほとんど問題ないレベルだけれど、同じ漢字を使いながら日中で意味が違う時に戸惑いを感じることがあるようだ。
 少し前だが「示唆」という言葉が話題になったことがある。中国語で示唆というと悪事をそそのかすという意味らしい。日本でいうところの教唆である。
KさんにGoogleレンズを使って瞬時に日本語を中国語に翻訳する操作を説明すると感心するとともにちょっと間違いがあるとも言っていた。
 Kさんからはひらがなで書かれた言葉について「漢字では何と書く?」と聞かれることがある。たとえば「はしょる」だ。たまたまはしょるは「端折る」で言葉の言われも知っていたので説明することができた。最後に「でもこの言葉は漢字じゃなくてひらがなで書く方が良いと思う」と説明を加えて。
 漢字を思いつかない時や記憶があやふやな時は即Googleに当たっている。
 Kさんが「頼りない先生だ」と思ったか「日本語は難しい」と思ったかは分からない。
 スマートフォンの色々なアプリを使って日本語を勉強することができるということ~つまりメタ学習法~の参考になれば良いと思っているのだが・・・
 ところで日本の行李は中国語で何ていうのだろう。Kさんに聞くのを忘れたのでGoogleで調べると柳条包と出ていた。旅行用的堤包とあったので柳であんだ鞄という想像は着くが今でも柳でできた旅行鞄が中国で使われることがあるのかどうかわからないので簡単に通じるかどうかは分からない。言葉は難しい。
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FOMC前に米国株大幅下落

2021年12月14日 | 投資
米国株はさくじつ( 12月13日)大幅に下落した。S&P500とダウは0.9%下げ、ナスダックは1.4%下落した。今日と明日に予定されている連邦公開市場委員会の様子を見るためだ。連銀は早ければ3月に債券買取プログラムを終了する予定だと考えられている。債券買取プログラムの終了の次にはインフレ抑制のための政策金利引き上げが投資家の視野に入っている。
 先週S&P500は今年67回目の高値更新を行った。株高はパンデミックの嬉しい副産物だった。だが来年連銀がインフレ抑制のため政策金利引き上げに動くとすると「有頂天相場」は終わり「不確実相場」が始まる。この移行期間の間は相場の振幅が大きくボラティリティは高止まりするだろう。
 相場全般が下げる中でモデルナやファイザーなどコロナワクチン株は上昇した。ワクチン株の上昇は救いではあるが、相場全体を押し上げる力はない。
 今のところコロナに特効薬がないように不確実相場にも特効薬はない。
 対策があるとすれば「欲をかかず目標利回りを下げて次のチャンスに備える」ことだろう。

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