惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

ロシア的

2005-06-01 21:07:47 | 国際・政治
 ロシア元石油王に禁固9年の実刑判決(日経)
 判決文朗読に12日かかったというのが凄い。もっとも、毎日ずっと読み上げていたのかどうか、よくわからない部分がありますが。

 今回のホドルコフスキー氏の事件は「国策捜査」としかいえないでしょうね。プーチン政権は、当然のことながら、否定していますけれど。
 ホドルコフスキーの犯した本当の罪は「オリガルヒは政治から手を引け」というプーチン大統領の言いつけに従わなかったこと。彼の所有していたユコス社は欧米経済界には評判が良かった。ロシアの経営人の目指すべきお手本のように見られていました。経営の透明化を図り、株主の待遇を改善した。ホドルコフスキーは、欧米にとって、ロシア経済会のエースだったのです。

 彼はなぜプーチンに刃向かうのか。『世紀の売却』(新評論)の著者クライスティア・フリーランドは2003年の秋、逮捕が噂されるホドルコフスキーにインタビューし、次のような言葉を引き出しています――

「大統領との話し合いは今でも思い出すし、これまでもしばしば思い出したことがある。そして、企業が政治に介入することはできないし、またそうするべきではないという意見にはまったく異論はない。しかし、それと同時にロシアの憲法では、私にはほかの市民と同じように(政治に参加するための)公民権がある。私にとって、公民権は財産よりも重要だ。なぜなら、私有財産は公民権によって保障されていると私は信じているからだ」(同書518ページ)

 彼はオリガルヒとして自分の財産を守ろうとしているのですが、同時にロシア市民としての権利を主張してもいるわけですね。このあたりがプーチン大統領にとってはやっかいなところで、それだけに余計に目障りなのでしょう。

 ホドルコフスキー氏はこうもいっています――

「私はまだ若いし、それに金持ちだ。いずれかの時点で、奴らは私を釈放せざるを得なくなるだろう。そのときは闘いを続けてやる」(同519ページ)

 裁判は上告されて続くでしょうし、仮に判決が確定したとしても、数年後に釈放されれば、ホドルコフスキーはプーチンの最大のライバルとなって姿を現すでしょうね。
 そうならないように、大統領としては次々と彼の罪状を「暴きたててゆく」方針のようです。

 全体がいかにもロシア的。