惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

黒人大統領

2008-11-06 20:42:17 | 本と雑誌
 オバマさんがアメリカの次期大統領に選ばれたことから私が思い出すのは、フィリップ・K・ディックの長編 'The Crack In Space'。
 1966年の出版ですが、アメリカに初の黒人大統領が誕生した「未来世界」の物語でした。確か、時空の裂け目が出来て、火星へ行けるようになり、そこが新たなフロンティアに……とかいう話ではなかったかしらん。

 黒人大統領が実現することになった現在はともかく、今から42年前に黒人大統領を描くのは大変珍しかったのです。もしかしたら、小説ではこれが初めてかも。
 まあ、ディックには数多い駄作の一つというのが大方の評判で、私も学生時代、苦労して原書を読んだはずなのに、まるで覚えていないのは大した話ではなかったからでしょう。たぶん創元からも翻訳は出ないんだろうな。
 とはいうものの、ディックのSFは愚作でも愛すべきところがあるので、日本語で読みたい気分は大いにあります。

 〈ナンクロメイト〉12月号、発売中です。担当している新刊紹介欄で次の3冊を取り上げました――

  • 神田明神監修『巫女さん入門 初級編』(朝日新聞出版)
  • 森昭彦著『身近なムシのびっくり新常識100 いもむしが日本を救う? めったに見つからないカブトムシ?』(ソフトバンク・サイエンス・アイ新書)
  • T・S・ストリブリング『カリブ諸島の手がかり』(倉阪鬼一郎訳、河出文庫)
 『カリブ諸島の手がかり』はかつて国書刊行会の〈世界探偵小説全集〉に収められていたものの文庫化。今回、初めて読んでびっくりしました。ミステリファンにはお馴染みの作品なのでしょうか。
 なお、同じ雑誌の横田順彌さん担当欄では、日本SF作家クラブ編『世界のSFがやって来た!!』(角川春樹事務所)と瀬名秀明編著『サイエンス・イマジネーション』(NTT出版)も紹介されています。どちらも昨年のワールドコン関連本ですね。