惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

隔月刊

2014-11-22 20:57:32 | SF

 〈SFマガジン〉2015年1月号が、定期発売日よりもひと足早く、連休初日に届きました。

 

 巻末に「本誌隔月刊化のお知らせ」。
 来月25日発売の2015年2月号が毎月刊の最終号となり、以降は偶数月に発行する、とあります。
 早川書房3雑誌の残る2誌――〈ミステリマガジン〉〈悲劇喜劇〉も同時に隔月刊となり、奇数月には〈ミステリマガジン〉が出るそうです(〈悲劇喜劇〉はどうなんだろう?)。

 

 1960年2月創刊号以来、55年目にしての変身。寂しい思いと同時に、仕方ないかという気もして、複雑なモヤモヤが湧いてきます。雑誌というメディアをめぐる状況の変化がこうさせたわけですね。

 

 雑誌は編集部とライターと読者が一体になってつくるものだと考えています。ひとつの場であり、共同体であり、運動の推進力。
 かつての〈SFマガジン〉にはそんな性格がありました。しかし、ネットの浸透とともに、それは失われてきた。そのことを如実に示すのは、読者からの投稿欄である「てれぽーと」の形骸化。個人がSFへの想いを吐露する投稿は消え、今ではイベントの掲示板と化しています。雑誌で人々が語り合う時代ではなくなったんですね。

 

 今、ほとんどの小説誌は、作家から単行本用の原稿を集めるための手段と化しています。その中で〈SFマガジン〉は特集やコラムを工夫し、よく健闘していると思います。
 ただ、本格的な雑誌というよりは、ムック(雑誌の形をとった単行本)めいたものにならざるを得なくなっているのも、事実。隔月刊化は今の傾向をさらに強め、内容を充実させるためにも必要なのでしょう。


 早川書房の取り組みとしては、アニメや映画、芝居、あるいはグッズの販売など、さまざまなメディアとの連携で、SFを社会に広めてゆこうということのようです。〈SFマガジン〉の今月号の特集は、「円谷プロ×SFマガジン」(嗚呼、竹内博さんがご存命だったら!)。

 

 これからどんなことになるのか楽しみですが、ビジネス面を重視するのは当然として、SFには多くのファンが一体化できる運動体としての性格があります。そこらへんもうまく取り込んで、上流も下流もない、渦巻のような混沌たる状態をつくり出してもらえたらなあと願っています。