先週末フロリダで行われたトランプ大統領・習近平主席の会談。外交面での具体的な成果はなかったようだが、米中双方にとって内政面では多少プラスがあったかもしれない。トランプ大統領は中国に対して強気の姿勢を示し、習主席は大人の対応を示したことで、国内的には少し点数を稼いだのではないか?
もっとも夕食の席でシリア空爆の話を聞いた時、習主席は化学兵器の使用に対する米国の制裁に一定の理解を示したようだが、その後新華社通信は米国のシリア攻撃を非難しているので、今後中国がどのように対応してくるかは分からないが。
ある中国のアナリストは「シリアは核を持っていないので、報復攻撃をされる懸念はなかったが、北朝鮮は核を持っているので、米国の先制攻撃は北朝鮮の報復攻撃を招く」と警鐘を鳴らしている。
きな臭いトピックが続く中で、もう少しファンダメンタルな面、つまり米国人全般の中国に対する世論の動向を見ると、米国の景気回復により最近の中国に対する見方が好転していることがピューリサーチの調査で分かった。
この調査結果は4月4日つまり首脳会談の直前に発表されたものだが、それによると中国に対する好意的な見方は昨年の37%から44%に上昇し、批判的な見方は55%から47%に減少している。
トランプ政権は米中貿易不均衡を大きな外交課題に掲げているが、世論調査の結果では、貿易不均衡を懸念材料とする意見は2012年の61%から今年の調査時点の44%に一貫して減少している。
ピューリサーチはその理由の一つとして、米国の景気改善(そして雇用市場の改善)をあげている。つまり「中国に職を奪われている」という不満が減少していることがうかがえる。
少し端折った言い方をすれば「金持ち喧嘩せず」ということで、自国の経済状態が改善すると競争相手に対する寛容度が高まるということだろう。米中が貿易不均衡に向けて100日計画を策定することで合意した意義は大きいかもしれない。
なおピューリサーチの調査によると、全般的に中国に対する見方は好転しているが、サイバーアタックに関する懸念は2012年の50%から直近の55%に高まっていた。