新華社通信によれば、中国政府は中国最大の銀行「中国工商銀行」に150億ドルの資本注入を行うことを決定したと4月21日発表した。
これは2003年後半に行った「中国銀行」「中国建設銀行」向け資本注入(各々225億ドル)をモデルにしたものであるが、より不良債権が多いと言われている工商銀行への資本注入額が少ないのかははっきりしない。
このような銀行強化策は「中国銀行」「中国建設銀行」の海外資本調達(新規株式公開)にはプラスの材料であることは間違いない。
両行の株式については、外国銀行(ロイヤルバンクオブスコットランド、香港上海銀行等)が、現在の制限(1外資が20%、総外資で25%)一杯まで取得したいという意向を示し実際水面下で交渉が進んでいる様だ。
こころで中国の不良債権とはどのような規模のものなのか?
中国の銀行業監督管理委員会によれば金融機関の資産総額は今年3月末で32.9兆元
(約427兆円)である。不良債権比率は公表ベース13%強であるので、不良資産額は日本円換算で約56兆円になる。これは日本の不良債権額28兆円(2003年末の数字)の約2倍である。また中国の不良債権額は概ね外貨準備高6千億ドルに相当する金額である。
もっとも格付機関は現在の不良債権は減少しているものの、その比率は30%~35%程度と見ている。
もし不良債権比率が格付機関の推定どおりとすれば、日本の不良債権額の4倍になる。中国の名目ベースのGDPは日本の35%程度であるからこれは大変な重荷といわざるを得ないだろう。
一方最近のエコノミスト誌は中国で個人向け与信が急拡大していることとその問題点を報じている。
問題点は「個人信用データベースの欠如」や「景気悪化サイクルを経験していないことによる銀行のダウンサイドリスク認識欠如」だ。
また個人のデフォルトも多い。フォルクスワーゲン社は自動車ローンのデフォルト率を欧州の10倍の5%と推定していいる。
無論この他に中国の銀行の問題は行員の不正な融資やガバナンスの欠如等々他にも沢山あるが取りあえずこのあたりをまとめてみた。
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