昨日15年来の友人であるマイケル・アンドリューなる米国人(以下M氏)と響銀座3丁目店で夕食を共にした。先週末M氏から来日するので一緒に飲もうという連絡があった時は懐かしい様なそして若干ながら億劫な気がした。億劫の方は米国から帰国して10年も経ち最近は英語を話す機会もないのでつい英語で話をするのが億劫になったのである。とはいうものの一献傾けることにして響銀座3丁目店の個室を予約した。
響というのはサントリー系列の株式会社ダイナックが経営する和食ダイニングバーである。和食ダイニングバーの詳しい定義は知らないが簡単にいうと居酒屋以上会席未満と創作料理が基本コンセプトだろう。M氏と私の間には「訪問した相手をもてなす」という暗黙のルールがあり東京では私が彼にご馳走することになる。そこで響を選らんだ訳だが、響銀座3丁目店を選んだ理由は次のとおりだ。
- 時々使っているので良く知っている
- 値段がリーズナブルである(昨日は一人1万円だった)
- 食事がそこそこに美味しい
- 英語のメニューがある
- インテリアが良い
- 交通の便が良く外人にも説明し易い。(マツヤの向かい側というと分かり易い)
といったところだ。なお響は銀座3丁目の他7丁目店があるがどちらかというと3丁目店の方が重厚な感じがするのでこちらを選んだ。
さてちょっと枠で囲んだニッチのような「個室」に入るとまずお通しがくる。中身は里芋、白菜、にんじんである。お通しまでは英語のメニューがないので私がM氏に説明してあげるが「里芋」の英語が思い浮かばない。「まー芋poteto、ただし少しsticky(ねばねばする)だ」と説明。(後で調べると里芋はtaroつまりタロイモだった)白菜を見て今度はM氏が「Lettuceだ」と言う。うーんどうも違うな?キャベツの方が近いんじゃないか?などと私が応える。(後で調べると白菜はchinese cabbageというそうだ)
M氏はソニー・アメリカ関係の仕事をしていたこともあり、ソニーの重役陣と親しくしばしば日本に来るので日本食は平気というか何でも食べるのである。だから英語のメニューのあるこの手の店で自分で注文するのも好きなのだ。メニューを見て「シシャモ」など頼んでいる。シシャモはsmeltというのだが、smeltは臭うsmellの過去形でもある。関係があるのだろうか?と思ったが質問はしなかった。彼は日本酒も大好きだ。この日は辛口の冷が良いというので「大信州」を飲む。さっぱりして良い口当たりだ。お陰ですっかり酔っ払い私は帰りの電車で慌てて一駅手前で降りてしまうという失態を演じたが。
それにしても酒のせいかあるいは日本人の癖のある英語に慣れているM氏の理解力のせいか3時間余り酒を飲みながらよく英語で歓談を尽くすことができたものだ。
ダイニングバーとはこの様に飲みながら話をするのに誠に良い空間なのである。浮き沈みの多い飲食店の中でダイニングバーが着実に伸びている理由が分かる様な気がする。
もっともダイニングバーでおじさんばかりが固まって飲んでいるのはあまり洒落た風景ではない。美人の女友達と楽しく話をしながら飲むのが一番洒落た風景なのだ。(もっとも最近ではそんな機会もなくなったが) ただし外人と飲むのは多少は洒落た風景である。相手がかなりのおじさんでも多少エキゾチックな感じがして響のインテリアにマッチするのである。
田無駅に着くと小雨が降っていたのでタクシーに乗った。財布をさがしてポケットに手を入れると折りたたんだ紙が出てきた。紙はインターネットで印刷した響のクーポンだった。このクーポンを出せば一本無料で酒が飲めたのだがつい忘れていた。やはり久しぶりに英語を沢山話すということで多少緊張していたのだろうか?