前のブログで紹介した相続関連の法律問題。1問目は「遺産分割協議が終わった後新たに預金がでてきた。前回の遺産分割協議を見直すことができるか?」という話だが、テレビ番組の顧問弁護士の解説では「当初の遺産分割協議に重要な錯誤があればやり直しとなることがあるが、今回三男が「1千万円の現金について相続を放棄する」とした判断は定期預金証書の発見で覆らないから当初の遺産分割協議は有効で預金証書は3分割するべきだ」というものだった。
人情論はさておくとこの弁護士意見は正しい。半分娯楽番組なので細かい説明はなかったが、相続上「定期預金」のような金銭債権と「現金」は取扱いが違う。定期預金のような金銭債権は一般には遺産分割協議の対象外と言われている。これは相続開始とともに、法定相続人にその持分に応じて当然分割されるからである。一方現金は不動産と同様遺産分割協議が必要である。つまり父親の残した現金は遺産分割協議の対象だが、定期預金は兄弟3人で当然分割されるという話である。
次の寸劇は昨年12月に最高裁が示した新しい判例に基づく寸劇だ。最高裁は第三者から提供された精子で妻との間にもうけた子を初めて法律上の子として認めた。これは兵庫県の夫婦が行っていた特別抗告を認めたものだ。夫婦は新宿区に出生届を提出したが、夫の戸籍の記載から以前は女性だったと分り「血縁がないことが明らか」なので「非嫡出子」として子の父親欄を空欄とした。夫婦はこれに対して最高裁まで特別抗告していたもの。
血縁よりも夫婦の実態を重視した判例だといえる。なお生まれながらの男女の夫婦が第三者の精子提供で子をもうけた時は嫡出子として受理されていたという乖離は以前から問題になっていたそうだ。
夫婦や家族のあり方の多様化で「親子」の認定やそれに伴う相続にも新たな判断が下される時代になってきた。
家族って何なのだろう?と考える機会かもしれない。