金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ロシアの演習帰投命令で緊張緩和、円反落。

2014年03月04日 | 金融

3月4日欧州の朝に入ったロイターのニュースによると「モスクワ政府がロシア西部で演習を行っていた軍隊に基地に戻るように命令を出したというニュースで市場の緊張が緩和し、下落が激しかったロシア株に買戻しが入って上昇している」ということだ。

冷静でパニックに陥らない訓練を受けているプロの投資家とはいえ人の子。持続する緊張に耐えるには限界がある。だから緊張を緩和させるニュースにはほっとする。

あるアナリストは「人々はウクライナで悪いシナリオを想定するのに飽き飽きした。そしてウクライナとロシアの軍事的衝突は起こらないだろうと信じ始めた」と述べている。

人々が緊張の支配を無意識のうちに避けようとする傾向があるとすれば楽観的になり過ぎる可能性が高い。一方恐怖に対する過敏すぎる反応は悲観サイドへのブレを大きくする。米国は昨日「ロシアはウクライナへの軍事介入により国際法を犯した。米国はロシア政府を孤立させるための経済・外交面の制裁を検討するだろう」と述べている。

あげた拳の下ろしどころとG8をはじめとする外交テーブルに関係者がどのように席に着く(あるいは着かない)かが次の焦点か?

なお円反落といっても短期的には良く行って先週のレベル。つまり102円そこそこ程度、と私は見ている。

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終の棲家か?つなぎの家か?

2014年03月04日 | うんちく・小ネタ

自宅を建てたのは昭和の終わり頃、築26,7年になる。急に修理を要するところはないが、今年に入って屋根の葺き替えを検討し始めた。ところが大手のS林業の見積もりを取ると当初の話の8割増し位の金額を持ってきた。そこで地場の専門店に見積を依頼したが、こちらも中々サクサクとは進まない。消費税引き上げ前の駆け込み需要や2月の大雪の被害修復などでてんてこ舞いのようだ。

それはそれでやむを得ないのだが、人間、時間があるとあれこれ考えだすものである。「この家に住み続けるか」「もっと年を取ったら駅前あたりのマンションに移るか」「もし10年位で移るのであれば屋根を修復する必要があるのか」などなどである。

今マンションに移ってしまう、という選択肢ありそうだが小さいとはいえ、時々草花の咲く庭や無料のガレージには未練がある。

そもそも京都育ちの私に「東京近辺でどこそこに住みたい」などとあまり好みはなかった(無論prestigiousな地名は知っていたが手が出なかった)。では何故この西東京というところを選んだか?というと東京での最初の勤務地が池袋で西武鉄道などこちら方面に強い企業を担当していたからだった。そしてその中の一つの取引先に建築を依頼して建てたのがこの家である。

沢木耕太郎に「点と面」というエッセーがある。その中で沢木氏は次のように述べている。「東京のように大きな街になると、他県から最初に出てきた時にどのような地域に住んだかが、それ以降の住所を決める際にもかなり重要な意味を持つものらしい。一種の『刷り込み』現象のようなものなのだろうが・・・・」

その「刷り込み」現象が私の半生を支配した・・・などというと少し大袈裟だろうか?

東京で育った期間が長い私の二人の娘にはこのような「刷り込み」はないようで、さっさと便利な都心の賃貸マンションに引っ越してしまった。それは持家と賃貸の差からも来ている。我々が若かった時は早く家を手当しておかないとどんどん高くなり手が届かなくなるという焦りがあった。だが少し前までは不動産価格は下落が続いていたので、優良な新築マンションを除いては慌てて買う必要はなかった。

「持家指向」から「賃貸指向」への転換が住まいの流動性を高め、刷り込み現象を緩和しているのではないか?これは私の仮説だが。

ワイフにとっては我が家が電車の駅から少し遠い(徒歩17,8分)ことが不満の種のようでいつかは駅に近いマンションに替わりたいという希望を持っている。これに対する私の反論は「健康のため一日一万歩は歩きなさい」という時代。駅を往復しても一万歩にならない位だから、駅近くに住んだりすると本当に歩かなくなるよ、というものだ。しかしワイフからは「歩くならもっと楽しい散歩道が良い」などとカウンター攻撃を受けている。この勝負は私が先に死ぬか足腰が動かなくなる時まで決着しないかもしれない。

愚痴っぽい話を聞いて頂いて恐縮であるが、開始する予定の工事が始まらず時間があると工事をすることの妥当性から考え直してしまいそうになるって話。ものごとって時間がありすぎると返って上手く行かなくなる場合がありますよね?

それにしても同じような悩みを抱えている人は多いのだろうなぁ。

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危機にはたまには実弾を持って

2014年03月04日 | 金融

ウクライナの情勢の不透明さに昨日(3月3日)は世界中で株は売られた。リスクを敬遠するのは投資家の心理。そんな中で利益を得たのは金の投資家やロシア株のショートファンドだった。

ロシア株は月曜日にロシア中銀が通貨防衛のために金利を引き上げてから12%下落。ロシア株はリーマンショック後につけた2011年の高値から既に半値程度になっている。ロシア株弱気3倍ファンドという上場投信があるそうで、株価指数の下落の3倍のリターンを得られるというから、このETFの投資家は大儲けしただろう。

当方はそんな強力なweaponは持ち合わせていないが、対円でこのあたり(101円台の前半)のドルはちょっとした買い場ではないか?と判断して少し実弾を持ってみた次第。

ウクライナ情勢については全くの素人で人様に解説する立場ではないが、管見を述べると早晩クリミア半島はロシアの支配下になる(独立国として)。黒海のロシア海軍の拠点セバストポリが西側寄りになる新しいウクライナの支配下に入るとロシア海軍は拠点を失う可能性があるからだ。ロシアがクリミア半島以上に食指を伸ばさない限り、西側諸国との軍事衝突の可能性は低いだろう。

だがそれは本格的な解決には程遠い。仮にロシアがクリミア半島を支配下に置きそれを外交上の勝利と判断すれば、「ユーラシアン連合」構想に拍車がかかり緊張は持続する。

欧米は実弾を撃たなくても、経済制裁でロシアの封じ込めを図る。ロシアは通貨防衛のため金利引き上げ政策を持続せざるを得ず、経済への打撃は大きい。だがロシア株にけん引される新興国市場の株価下落は、リスク回避や利益確保のため投資家の先進国の株売りを促進する。ウクライナの経済規模は世界経済に較べて小さいので、ウクライナ危機が世界経済に与える影響は小さいという見方もあるが、根は深いと私は感じている。

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言葉を訳すことの難しさ・長井さんの番組で実感

2014年03月04日 | うんちく・小ネタ

昨日のNHKプロフェッショナルの流儀は同時通訳の第一人者長井鞠子さんを取り上げていた。番組で印象深かったことは、言葉のニュアンスまで伝えようとする長井さんの不断の努力と言葉を訳すということの本源的な難しさだった。

一つの言語のある言葉と他の言語のある言葉は一対一の関係にないことが多い。特に抽象的な言葉はそうだ。たとえば自由はLibertyあるいはFreedomと一対一なのか?もし一対一とすればLibertyとFreedomは一緒なのか?ということになる。詳しいことは専門家に任せるとして一般的にはFreedomとは「抑圧からの解放」というニュアンスで、Libertyとはより前向きなニュアンスで選択や行動の自由というニュアンスのようだ。

言葉が一対一にならない理由は生活・宗教・文化・歴史がそれぞれの言葉を話す人々によって違うからだ。

例えば骨という言葉一つにしても、日本人には骨に対する特別な思い込みがあり、それは外国人とはかなり異なる。

「骨を折る」という言葉には文字通り「骨折する」という意味と「努力する」という意味がある。前者は英語ではbreak a boneで後者はgo to trouble toだろう。英語のbreak a boneには努力するという意味はなさそうだ。

管見では日本人は骨に特別な思いを抱いている。だから遺骨収集に大きな努力を払う。しかし同じ仏教国とはいえ東南アジアなど上座部仏教国では死んだら肉体は何も残さないという考ええでお墓も作らないと聞く(とはいうもののお釈迦様の遺骨の仏舎利は祭っていたのではないか?という気もするが)。だから最初の頃は日本人の遺骨収集に違和感を感じていた東南アジア人がいたという。

話が脇道にそれてしまったが、完全に一対一になる言葉がないから、通訳・翻訳という仕事はまだまだコンピュータではなく人がやる領域の多い仕事だと感じた次第。ただ逆にいうと一対一的な関係が成立する分野ではますますコンピュータによる翻訳が幅を利かすようになるともいえるのだろうが。

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