金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日銀が量的・質的金融緩和に乗り出す5つの理由

2014年03月26日 | 投資

CNBCが日銀が新たな金融緩和に乗り出す5つの理由という記事を載せていた。膠着状態の相場に強力な援護射撃をしてほしいという狙いかもしれないが、日本株の売りに回っていた海外投資家が日銀のスタンスを確認したらまた活発に動く可能性があるので、頭にとめておくことにした。

ソシエテジェネラル証券の会田卓司エコノミストは「4月の消費税引き上げで経済成長が鈍化するリスクに対応するため、第2四半期のどこかで~4月の可能性が最も高い~日銀は追加的な量的・質的金融緩和QQEを実施すると予期している」と今日のレポートの中で述べている。

日銀の次の政策決定会合は4月7-8日だ。会田氏の説が正しいとすると4月の政策決定会合で対策を打ち出すことになるのだろうが、これは従来の予想より早い。

CNBCは会田氏が日銀が早期にQQEを実施する5つの理由を紹介している。

  1. 市場のインフレ期待率は日銀がかかげる2%のターゲットより低い。日銀のCPI予想は2015年度に1.9%というものだが、市場コンセンサスは1%に過ぎないと日銀は判断している。
  2. 日銀は2015年までにインフレ率2%という目標を達成する必要がある。
  3. 日銀はデフレを終わらせるためにあらゆる手段を取るという信念を示す必要がある。
  4. アベノミクスの他の二本の矢(財政による景気刺激と構造改革)をサポートするために追加的な金融緩和が必要である。
  5. 日本の実質金利(10年)は現在マイナス0.2%だが、(企業の投資意欲を刺激するため)持続させる必要がある。

大方のエコノミストは日銀がQQEを実施すると考えているが実施時期については見方が分かれている。

ゴールドマンザックスやモルガンスタンレーは消費税引き上げの影響を見極めてからQQEの実施を決定するだろう、それは早くても6月という見方だ。

モルガンスタンレーは追加的な金融緩和策は国債購入額を年間50兆円から60兆円に引き上げ、ETFの購入額を年間1兆円から2兆円に引き上げるだろうと述べている。

もし株屋さんの話を信じるならば、日本株についてもbuy the dip(押し目買い)、株価が下がったところは絶好の買い場かもしれない。

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【書評】科学がつきとめた「運のいい人」

2014年03月26日 | 本と雑誌

「科学がつきとめた『運のいい人』」サンマーク出版 中野信子著を電子版で読んだ。

少し前アマゾンで中野さんの「脳内麻薬」(幻冬舎)を買った(こちらは紙の本)ので、自動的に案内が送られてきたのだ。案内された本を買って読んでみたいと思うかどうかは著者とタイトルが決め手だ。この本についていうと「科学」「つきとめる」「運のいい」と私の読書心をくすぐる言葉が並んでいる。この本が「運のいい人」のしくみをつきとめたかどうかは読者諸氏お一人お一人の判断に関わるが、売れる本(この本が売れるかどうかは知らないが)は、誇大広告すれすれのタイトルが必要なのだろう。

さて本題に戻り、一読しながら付けたブックマーク(紙の本で付箋)から印象に残るところをいくつかピックアップしてみた。

  • 科学的な観点から考えると「生き残ること」が運のいい人の一つのキーワード。運がいい人が生き残るのが「運者生存」の概念
  • 運・不運はだれの身にも公平に起きていて、運がいい人というのは運をつかみ不幸を防ぐような行動、物事のとらえ方、考え方をしている。
  • 運のいい人になるための絶対条件は自分を世間の標準に合わせるのではなく、自分を最大限に生かすことだ。自分の価値観で自分なりの幸せを把握することが大事。
  • 自分なりの幸せとは自己一致の状態。簡単にいうと自分で自分のことが好きな状態。
  • 運のいい人はいい加減に生きる。
  • 運のいい人は「正しいかどうかよりおもしろそうかどうか」で決める
  • 運のいい人は自分を大切に扱う。自分を大切にするとはたとえば身だしなみに気をつけること。自分を大切にしている人は他の人からも大切にされる。
  • 運のいい人はあえてリスクのある道を選ぶ。なぜならリスクのある道を選んだ法が脳が喜ぶ傾向にあるからだ。
  • 配慮範囲が広い人ほど運がいい。(配慮範囲とは現在に自分を原点にして人間関係と時間を軸にしたもの)
  • 運のいい人は不安と上手につきあう
  • 運のいい人はポジティブな祈りをする。ポジティブな祈りとは自分のことだけでなく、自分以外のだれかの幸福を願うポジティブな祈りのこと。

ピックアップしたところは、結論部分なので「なぜそう筆者が判断したか」の説明は省略している。中野さんはセレトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が幸福感に果たす役割を説明しながら「科学的」に運のいい人にいたる道を提唱している。

さらさらと読める本だからご興味のある方はご一読を。

なお「科学がつきとめた」というが、私は現在時点における矛盾が少なくて納得がいく説明ができた程度の話、と実は理解している。

運のいい人はポジティブな考え方をするとか他者の幸せを願うなどということは古代より言われてきた話である。だがなぜそうなるのか?という説明はブラックボックス化している場合が多かった。

「胸にストンと落ちる説明がないと昔から良いといわれていることでも実践しにくい」という理屈っぽい人には参考になる本である。

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米消費者信頼感指数の雪解け

2014年03月26日 | 投資

昨日カンファレンスボードが発表した米国の3月の消費者信頼感指数は82.3と過去6年間で最高のレベルに達した。春の雪解けとともに、消費者信頼感指数が高まった感じだ。

もっともワシントンを旅行している知人のフェイスブックによるとワシントンは雪で4月初旬の桜の開花が心配、とあった。

雪の影響は大きく、2月の新規住宅販売戸数は3.3%下落して、季節調整後で年間44万戸ベース。

車を走らせているとこのところ渋滞にあうことが増えている。通常3月は引っ越しシーズンで渋滞にあうことが多いが、今年はそれに加えて4月の消費税引き上げを前にして、物流などが増えていることが原因だろう。

雪といえば、2月の大雪で一部破損したカーポートを修理することにしたが、工事は4月下旬になる予定だ。ただし業者さんは消費税は5%で結構です、と言ってくれた。

米国ではback and forth(前進後退)を繰り返しながら、少しづつ景気が回復する兆しが見えているようだ。それにともなって株価も行きつ戻りつである。

日本では桜の開花情報が寄せられ始めている。雪解けと花の季節が近づいているが、消費者のセンチメントはどうだろうか?

私の直観では消費税は8%や10%への引き上げで終わることはない、と考えている。

時期ははっきりしないが20%程度まで引き上げないと財政が破たんすると考えている。理由は簡単でそれが先進国の一つの標準だからである。高齢化が進む日本だけが低い消費税でやりくりできるというそろばん勘定が成り立つ訳がない。

必要なことは短期的な買いだめではなく、生活の質の変革なのだろうと考えている。

たとえば、近いところへのお出かけは車ではなく自転車で行く、毎日規則正しい運動を生活習慣に取り入れサプリメントや健康食品、薬などへの依存度を減らすなどである。

もっともこれは言うは易く、行うは難しなのだが。

ただそのような生活の質の変革が定着しない限り、本当の消費者信頼感は高まらないだろうと私は考えている。

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