円高になると日本株が売られ円安になると日本株が買われるという相関関係が1年以上続いていたが、ひょっとするとその蜜月関係にひびが入るかもしれない。
円安が株高に結び付いたのは、円安で輸出企業の競争力が回復し外貨を稼ぐと期待されていたからだ。だが今日発表された1月の経常収支は過去最大の1兆59百億円だった。輸出も伸びたが、それを上回る燃料等の輸入拡大で大幅な貿易赤字となった。円安になると最初は輸入額が増えるが、その後輸出競争力が出て輸入を上回るというJカーブ効果は見られず貿易収支の赤字が定着しそうだ。
仮に相場を牽引する海外投資家が「円安でエネルギーなど輸入原材料費が値上がりするので円安でも日本企業はあまり儲からない」と判断すれば、「円安なら日本株買い」というプログラムを修正する可能性がある。
貿易赤字が定着すると日本はアメリカと同じ「双子の赤字国」になる。経常赤字が定着すると経済学的には円の安全通貨としての魅力は衰え、円安になる可能性がある。円安の度が過ぎると通貨防衛・インフレ予防の観点から政策金利の引き上げすら視野の片隅に入ってきそうだ。
そのようなことが起きるかどうかは分らないが、海外投資家が「円安=日本株買い」のプログラムを変更する可能性は大いにあると私は考え始めている。