金融そして時々山

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インドの経済成長率が中国を超える日

2016年01月20日 | 金融

中国の2015年の経済成長率は前年比6.9%と25年ぶりに低い伸びとなった。IMFによると中国の経済成長率の予測は2016年度は6.3%、17年度は6%程度に鈍化する見込みだ。

一方IMFはインドの2015年度の経済成長率を7.3%と推定した。また2016年度の成長率を7.5%と予想している。

またADBはインドの経済成長率を2015年7.4%、16年7.8%という見通しを変えていない。

世界経済全体の成長率について昨秋IMFは2016年を3.4%、17年を3.6%と予想しているからインドの経済成長率の高さが目立つ。

中国やインドの経済成長率に関するデータをどこまで信頼して良いか疑問は残るが、2015年はインドの経済成長率が中国のそれを凌駕した年となるだろう。

インドと中国の今後の経済成長を考える上で大きな着目点は人口構成の違いだ。

中国の総人口は13.6億人で人口成長率は0.45%。0-14歳の割合は17%、15-24歳は14%、25-54歳は48%、55歳以上は21%だ。

一方インドの総人口は12.5億人で人口成長率は1.2%。0-14歳の割合は28%、15-24歳は18%、25-54歳は41%、55歳以上は13%だ。

中国では高齢化が進むが、インドでは若い労働力の供給が続くことが予想され、世界経済の環境激変がなければ、インドの成長率は中国を上回り続ける可能性が高いと私は考えている。

長い歴史の中で見るとインドと中国は世界の中で飛びぬけた経済大国だった。

1500年当時のインドと中国の実質GDPは605億ドルと618億ドルとほぼ拮抗してダントツの世界1,2位だった。当時の西欧諸国合計のGDPが443億ドルだったから、インド・中国一国で全西欧を上回っていたことになる。

1870年(明治3年・普仏戦争が起きた年)でも、中国とインドのGDPは各々1,897億ドル、1,349億ドルと世界1,2位だった。第3位には米国が984億ドルで続く。当寺の日本のGDPは254億ドルで中国やインドに較べると2割以下だ。

第一次世界大戦前の1913年にはアメリカ(GDP5,174億ドル)で1位になり、中国(2,413億ドル)、イギリス(2,246億ドル)、インド(2,042億ドル)という順位だ。(データは「経済統計で見る世界経済2000年史」による)

それから100年たった2014年の世界の購買力平価ベースのGDPを見るとEUが第1位で18.1兆ドル、2位が中国で18.09兆ドル、3位が米国で17.35兆ドル、4位がインドで7.4兆ドル、日本は5位で4.8兆ドルとなっている。(データはCIA The World Factbookによる)

中国やインドがGDPの規模において西欧諸国や日本に劣後していた期間は少し長いスパンで見るとごく短期的なものだったことが分る。

このような見方をすればインド経済の伸びしろは相当大きいと考えることができるだろう。

 

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