英国の国民投票を前にドルの調達コストが急騰している。ブルンバーグによると、FRA/OIS(金利先渡契約)スプレッドが、44ベースポイント(0.44%)と昨年末以降で最高水準に達した。昨年末にドル調達コストが急騰した理由は、米連銀が約10年ぶりの政策金利を引き上げたことに対して、銀行が身構えたことや年度末でバランスシートを圧縮したことが原因だった。
今日の日経新聞の一面もこの問題を取り上げていた(「日米欧、ドル緊急供給を検討」)。
市中銀行間でドルの貸借が難しくなっているのは、過去に較べてリスク管理等コンプライアンスが厳しくなり、市中銀行が裁定取引を狙ってドルを貸し出すことが減っているということもある。
市場にはリーマンショックや2011年の欧州銀行危機並のドル不足が起きるのではないかという懸念が広がっている。
ドルの調達コストは上昇しているものの、ドル円為替レートについては、円高が進んでいる。ドルが不足しているなら、対円でのドル安が一服してもよさそうだが、ドルを借りるということとドルを買うということは別なのだろう。市場は安全通貨として円を買っているのだ、とエコノミストは解説する。
長期的に見て今の日本に投資魅力は乏しいと思われるが、短期的には少なくとも通貨は安定、政府も為替介入に踏み切れないと投機筋は読み切っているようだ。