正月は新聞を開いてもテレビのビジネス番組を見ても今年の予想に関する話題が多い。
識者だとか経済界の実力者と言われる人が今年の経済成長率や相場見通しを述べるのが中心だが、彼らが昨年の正月どのように予測し、結果はどうだったかを合わせて発表すると面白いと思う。もっともそんな意地の悪い企画をすると乗ってくる人がほとんどいないのかもしれない。
今朝のモーニングサテライトを見ていると、今年の前半までは米国株高(これはほぼ全員一致)、その後日本株は一時的に下落するも日経平均は2万円超え、ドル円為替は120円台という常識的な予想が多かったようだ。
さてWSJは昨年度の経済調査について自己評価を行っていた。それを見るとどのようなことが比較的予想し易いか(あるいはし難いか)が分かるのでポイントを眺めてみた。
- まずビジネス・金融・学術面の予想の専門家の叡智を集めたWSJの調査でも英国のEU離脱と米大統領選でのトランプの勝利は予測できなかった。
- 経済指標では雇用統計は非常に正確な予想を行った。昨年初の年末の失業率予想は4.7%で11月の実績は4.6%(12月分は今週発表予定)だった。毎月の非農業部門雇用者数の予想は191千人、これに対して11月までの過去12か月間の平均は188千人だった。いずれも非常に近い数字だった。
- GDP成長率予想は2.5%で第3四半期までの実績は1.7%だった。昨年最終四半期の結果が集計されるのはもう少し先になるが、かなり予想に近づく可能性がある。
- インフレ率の予想は2.2%だったが11月の実績は1.7%だった。識者の昨年初の予想は連銀ターゲットの2%を超えるものだった。12月の数字は未発表だが、強い経済指標は先月のインフレ率がかなり予想に近い数値まで上昇する可能性を示唆しているようだ。
- 政策金利引き上げ3回の予想は1回の実績に終わった。
- 原油価格は予想43.46ドル/バレルを9ドル上回る52.65ドル/バレルだった。
「物価上昇のきっかけが賃金上昇にあり、賃金上昇のきっかけが労働需給の引き締まりにある」とすれば、昨年のWSJの雇用予想とインフレ予想はかなり正確だったと判断できる。
しかし原油価格のように政治色の強いコモディティ価格の予想は難しかったようだ。
WSJの予想評価は株価や為替には言及していなかった。
為替や株価は経済のファンダメンタルな動きに内外の政治的な動き、地政学的な緊張、その他の突発的な要因が重なって動いていく。
それは予想という学問的?領域を超えた「あてもの」の世界なので取り上げなかったということなのだろうか?