今週米国の次期大統領トランプが「ドルは高過ぎる」とWSJのインタビューで発言したことから、ドルは一時急落した。
私は口先介入には限界があると、ブログで述べたがその後ドルは値を戻している。
昨日ムニューチン米財務長官候補は承認公聴会で、長期的にドル高を維持することが重要だという見解を示し、トランプ氏の発言は短期的な影響について語ったものだという認識をしめした。
新大統領と新財務長官の意見の食い違いを示す発言ともとれるが、いずれにせよ為替相場を動かすのは政治家ではなく、経済のファンダメンタルだ。
一昨日米労働省が発表した昨年12月の消費者物価指数は前月比0.3%上昇した。また前年同月比では2.1%上昇した。これは過去2年半で最大の伸びだ。
インフレ率2%は連銀のターゲット(もっとも連銀は商務省が発表する個人消費支出指数をベンチマークにしていると言われているが)。
また雇用市場では先週の新規失業保険申請数が234千人と過去40年間で最低レベルまで低下した。
既に失業率は連銀がターゲットとする4.8%を切る4.7%まで低下している。連銀のイエレン議長は「経済が連銀の目標とするレベルにつれて、金融政策のサポートを緩やかに減らすのは意味のあることだ」と述べている。
金融政策の転換が経済全般に影響を及ぼすには時間がかかるので、政策転換が遅れると必要以上のインフレや金融市場の混乱を招く可能性があるからだ。
つまり連銀は今後数回の利上げを視野に入れており、ドルと他の通貨の金利差は拡大することは間違いない。
トランプが吠えてもドル高は続くのである。