昨日は「働き方改革」は成功するか?というエントリーで、「無駄な会議の削減」について述べた。
だが「無駄な会議の削減」だけで働き方が改善する訳ではない。もう一つの課題は「顧客の要求水準を下げる」という努力も必要だ。顧客というのは我々一般消費者だ。つまり我々一般消費者が今享受している「過剰なまでの便利さ」を少し見直してはどうか?という提案だ。
今日の午前中はやや風邪気味で布団の中でゴロゴロしていたが、宅配便が3回来て、結局あんまり休んでいることができなかった。その内1回は午前中の受取を指定していたものなので、予定どおりなのだが、後の2つは知人からの突然のプレゼントだった。プレゼントは嬉しいが、3回の宅配便が別々の宅配業者からバラバラに届くのは、国民経済やエネルギー消費の面からは無駄なような気がしている。
宅配業界に多くの企業が参入したことで、価格が下がり、サービスが向上したことは評価できるが、労働力不足が顕在化する中で、個人宅配の在り方も考え直す必要があるのではないか?と考える。
運送業界で人手不足が顕著になっているのは日本だけではない。米国でも運送業界の人手不足は顕在化している。
WSJはU.S. workers productivity jumps in third quarter「米国の労働生産性は第三四半期に飛躍」という記事の中で次のような例を紹介していた。
・雇用環境がひっ迫しているので、求人が難しくなってきた。事業を拡大するためには、効率化を図る必要がある。ミシガン州のある配送業者は、現在の陣容でより多くの顧客に対応するため、引っ越しの見積もりを電話相談からオンライン依頼に切り替え、運転手のタブレット端末を配ることで、一件の見積もり時間を20分短縮することができた。
もちろん日本の宅配業者も運転手にスマートフォンやバーコード読み取りスキャナーを配布することで効率化を図っている。だが効率化のポイントは「不在訪問」を減らすことと「末端(個人宅)の配送業務の集約化」にあるのではないか?と私は考えている。
「不在訪問」を減らすためには、「時間指定をして1回で確実に荷物を受け取った人にはポイントを付与する」といったインセンティブの付与も検討してはどうだろうか?
また我々消費者もそろそろ「便利すぎる24時間社会」(コンビニエンスストアやファストフード店が常時空いている社会)から脱却することに協力する時代が近づいているような気がする。
欧米では多くの小売店は深夜や日曜日は閉じているものである。日本全体の労働力が減っている中、より付加価値の高い仕事に人材を回すためには「便利すぎる24時間社会」の見直しが必要になっていると思う。
消費者が少し要求水準を下げるともっと「働きやすい社会」が生まれる可能性があると私は考えている。