昨日(10月31日)に民間経済研究所コンファレンスボードが発表した10月の消費者信頼感指数は、前月の修正値120.6から5.3改善し、125.9ポイントに達した。これは約17年ぶりの高水準だ。
消費者信頼感指数が上昇を続けている最大の理由は、雇用市場への信頼感の上昇が持続していることにある。
消費者信頼感指数の高まりは、家計消費を押し上げている。9月の季節調整後の家計支出は、前月比1%上昇した。これは1カ月単位の上昇幅では過去8年間で最高の水準だった。
一方多少気になるのは、家計の貯蓄率が低下していることである。
月曜日に商務省が発表したデータによると、9月の貯蓄率は3.1%で過去10年間で最低レベルだった。2年前の2015年10月の貯蓄率が6.3%だったから半分に低下している。
貯蓄率はここ7カ月連続で4%を切っている。これは1990年代後半と同じような状況だ。
この時も株価が上昇を続け、失業率は5%を切っていた。
基本的に贅沢な暮らしをしたいという願望が強いアメリカでは、株価の上昇と雇用環境の改善が顕著になってくると、自動車や耐久消費財の支出が増える。
9月の家計の耐久消費財支出はインフレ調整後で3.5%増加した。第三四半期全体では耐久消費財支出は年率換算8.3%の伸びを示した。
耐久消費財支出が伸びている背景には、夏のハリケーンの影響(破損した車の買い替えなど)も考慮しないといけないが、景気が良くなってくると、貯蓄を減らして、車を買い替えよう・家を改修しようと考えるアメリカ人の消費パターンは変わっていない。
過去四半世紀を見ると、好況期に実力以上の消費をして、貯蓄を減らした結果、バブルの崩壊で苦労するというのがアメリカのパターン。ただしバブル崩壊後再び景気が回復し、株価はバブル崩壊前の水準を更新しているから、「バブル崩壊がどれほど苦い経験」になっているのか、私には分からないが・・・
ところで4%以下という貯蓄率は低そうに見えるが、実は日本の貯蓄率も同じようなレベルだ。
貯蓄率には色々な定義があり、各国比較は容易でないが、OECDの貯蓄率に基づいて各国の貯蓄率を比較すると次のようになる。
(2015年度)
日本4.1% アメリカ3.7% 韓国16.1% ドイツ10.0% 中国47.1%
OECDの貯蓄の定義は「可処分所得+年金資金の純資産増加分ー最終消費支出」をGDPで除したものとして計算されている。
内閣府は家計貯蓄率を発表している。2015年度は2.2%だった。昔は日本人は貯蓄好きと言われたがそれは伝説にすぎないことがわかる。