金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本史を学ぶ意味~ハーバード日本史教室から

2017年12月26日 | 受験・学校

昨日のエントリーで「高校の日本史の教科書から武田信玄・上杉謙信・坂本龍馬などの名前が消えるかもしれない」と書いた。

その後少し前に読んだ「ハーバード日本史教室」(佐藤 智恵著 中公新書ラクレ)を読み返してみた。

アンドルー・ゴードン教授とのインタビューの中で次のような文章が目に付いた。

著者「膨大な数の日本人の名前をどうやって覚えるのでしょうか」

ゴードン教授「三ケ月間で(日本の)通史を教えなくてはならないので、個々の歴史的人物の名前を覚えてもらうことには注力していません。学生も暗記なんて無駄だといって覚えないと思います。それとりも、日本史に変化をもたらしたものは何だったか、世界とのつながりがどう変化していったかなどに注目し、大きな流れを把握してもらうようにしています。」

著者「日本史の授業で学生に特に学んでほしいことは何ですか」

ゴードン教授「世界には様々な政治、社会、文化のシステムがあるということ」「現代の世界各国の政治・経済システムは、『近代化』の時代に端を発していて、近代化の経験を共有しながらともに発展してきた」という二つのことです。

アメリカの大学生が日本史を学ぶ意味と日本の高校生が大学受験をするために学ぶ日本史の勉強方法を混同するつもりはない。

しかし歴史を学ぶ本当の意味に洋の東西による差はないはずだ。歴史の勉強は高校だけで終わるものではない。大学に進んでもあるいは社会人になっても、興味があれば学び続けると良い。

暗記項目を減らす目的で教科書に登場する人物を減らすというのは本末転倒だろう。暗記力ではなく、歴史の大きな流れをつかむ力を試すのが、本来の試験ではないだろうか?

暗記にリソースを割き過ぎる結果、考える力の乏しい若者を育ててはいけない。

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2018年はレパトリ減税でドル高スタート

2017年12月26日 | 投資

米国の税制改正により来年はドル高でスタートすると専門家は見ている。

米国の法人税改正の柱は、法人税率を引き下げるだけでなく、海外子会社の利益送金に1回限りの税制優遇措置を与え、米国内に資本と投資を集中させることにある。

利益の国内送金をrepatriate(レーパトリエイト)というので、この1回限りの減税措置をレパトリ減税と呼んでおこう。

Patriateの元々の意味は「英国領だったカナダに自治権を移す」という意味だったが、repatiateになると海外子会社から利益送金になるのは面白い。Patriot(愛国者)という言葉もスペルが似ているが語源が共通しているのだろうか?

その辺のことには詳しくないが、利益の国内送金をする企業が、米政権にとって愛国者に見えることは間違いない。

余談はさておき、レパトリ減税を利用して、2千億ドル~4千億ドル程度の利益が米国に還流するという見方がある。

2004年のジョージ・ブッシュ政権下でレパトリ減税が実施された時、3,120億ドルの利益が米国内に還流した。利益を米国内に持ち帰るということは、外貨を売り、ドルを買うことになるから、ドルが上昇する。

WSJによると2005年にはWSJドル指数は13%上昇した。

今回のレパトリ減税がドルをどれ程持ち上げるかは不明だし、ドル高がどれほど続くかという点については、欧州中銀の金融政策も影響するから専門家の見方は分かれている。

例えばバンカメ・メリルは、レパトリ減税でユーロは足元の1.186ドルから1.10ドルに下落するだろうという見方を示していたが、これが大方の予想なのかどうかは分からない。

ほぼ総ての市場関係者が年明けのドル高を予想しているので、しばらくドル高基調で新年が始まることは間違いないだろう。

ただそこを絶好のドルの売り場とみる投資家もいるから、ドル高が持続するかどうかは分からない。それが分かれば投資ほどlucurativeな仕事はないのだが・・・

 

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