昨日(5月16日)米国株は3日続けて上昇。ダウは214.66ポイント(0.84%)高で引けた。
月曜日に607ポイント下げたダウは、3日間で538ポイント値を上げた。もし今日70ポイント上昇すると月曜日のマイナスを同じ週内に取り戻すことになり、過去の傾向を更新する。
株価の急反発を支えているのは、企業の自社株買いだ。
WSJによると今年第1四半期にS&P500社の約86%が1,880億ドル相当の自社株買いを行った。
この自社株買いによりS&P500社の25%は少なくとも一株当たり利益が4%上昇した。
一株当たり利益は投資家が非常に重要視する指標で、自社株買いは一株当たり利益を増加させる手っ取り早し方法だ。
企業が自社株を買い戻す時、株価が安い方が良い。だから株価が急落するとすかさず自社株買いが入る。
それが現在の米国株相場を下支えしている訳だ。
また自社株買いが行われる場合、企業は将来の経営環境に自信を持っていることが想像される。何故なら将来の業績悪化は資金繰り不安につながるので、企業は自社株買いを控え、手持ち現金を厚くすると考えられる。逆にいうと手持ち現金を減らして自社株を買うということは企業が先行きを悲観的に見ていないことを示している。
なお自社株買い自体はその企業の収益構造を強化するものではない。自社株買いに充てる資金を設備投資に回す方が長期的にはその企業の収益力を高める可能性がある。
ひと昔前の日本企業はこのように考え、自社株買いに積極的ではなかった。
しかし自社株買いはマクロ経済的にみると、投資家に新たな投資先に投資する機会を与える効果がある。
つまり自社株買いで資金を受け取った投資家は、新しい成長企業の株を買うことで、資金が既存の大手企業からスタートアップに回っていくのだ。特に経済が順調に成長している時はこの資金循環効果は大きいだろう。
株を中央銀行がETFの形で買うことにより株価が維持されている国ではこのような資金循環は起こらないが。