今朝(5月27日)のNHKニュースで「世界のATM台数初めて減少」と報じていた。世界で一番ATM台数が多い中国でキャッシュレス化が進みATMが減ったことや、米国で銀行支店の統廃合が進んだことが大きな原因だ。ちなみに日本でもこの10年間で初めてATMが減少したという。
ATM=Automated Teller Mashineはその名のとおり、銀行窓口で顧客がテラーに依頼して行う業務を自分で行うことができる機械だ。自分で行う業務の代表例は通帳記帳や他人口座への送金である。一方現金の受払しかできない機械をCD=Cash Dispenserという。
大雑把にいうと銀行店舗内にある機械はATM、コンビニ窓口にあるのはCDと私は整理している。一般的にはどちらもATMと呼ばれているが、コンビニ窓口の機械は通帳記帳機能や送金機能がないからだ。
ただし統計上はATMもCDもATMとして扱われているので、減ったのがATMなのかCDなのかはこのニュースだけでは分からない。
経費削減に頭を痛めている日本の銀行に私が提案したいことは、「狭義のATMを減らそう」ということだ。
つまり通帳記帳や送金を行うことができる高度な機能を持ったATMを減らし、現金受け払いオンリーのCDについては顧客利便性を重視ながら対応していこうという提案だ。
このATM削減策を実施するには、先行してあることを実施しなければならない。それは「普通預金の無通帳化」だ。普通預金の通帳を廃止して当座預金のように月単位で異動明細を送付する(あるいはインターネットバンキングでダウンロードする)方式に切り替えることだ。
今ゆうちょ銀行を含む多くの銀行で無通帳化は進められている。ただし通帳発行を希望する預金者には通帳が発行されるので、実際には無通帳化はそれほど進んでいないと私は見ている。
銀行にとって無通帳化するメリットは大きい。
第一に印紙代を含む通帳発行コストをゼロにすることができることだ。次にATMから通帳記帳機能を削除することができることだ。これは特に銀行合併時にATM統合コストを削減できることにつながる。また通帳記帳機能を取り除くと複数の銀行でATMを共同利用することが可能になり、コスト削減につながる。
一方預金者側からは「預金残高の推移を長期間にわたって確認することができない」という不満がでるだろう。ただしソニー銀行などネット銀行は初めから無通帳だし、証券取引は総てステートメント方式で通帳はないから、銀行側はツールを提供することで、顧客の要求をかなえていくことは可能だ、と私は考えている。また無通帳化によるコスト削減メリットを諸手数料の削減という形で預金者に還元していくことも重要だろう。つまりIT化のメリットを預金者・銀行で折半していく訳だ。
無通帳化は完全に実施(つまり完全に通帳廃止)しないとメリットがでない。少しでも通帳が残るとATMに記帳機能を実装する必要があるからだ。
新しいことには銀行・預金者双方に抵抗があるだろうが、そろそろ乗り越えるべき時期ではないか?と私は考えている。