昨日(5月15日)の米国株は堅調、ダウは115.97ポイント0.45%上昇、S&P500は16.58ポイント0.58%上昇した。ダウは今週月曜日に618ポイント下落したが、火曜日・水曜日2日連続上昇した。2日間で325ポイント上昇したので、半値以上戻したことになる。
このブログでも書いたが、米国株は月曜日に急落した場合、その週末には上昇に転じている傾向が顕著である。つまり今日明日2日で約300ポイント上昇すると統計的傾向と一致する訳だ。もっとも相場には個別の要因があるので、今週月曜日の急落をカバーできるかどうかは分からないが。
昨日株価が堅調だったのは、米政府が自動車や自動車部品に関する追加関税導入判断を半年間先送りしたこととムニューシン財務長官が貿易交渉団を早期に中国に送ると発表したことだった。
うがった見方をするとトランプ政権は株価動向を気にしながら、貿易交渉のアクセルを踏んだり緩めたりしているのかもしれない。
米国が対米交渉で強気な立場を堅持しているのは、米国経済や株価が堅調で、関税競争を続けても、中国の方が先に音を上げると読んでいるからだ。逆にいうと株価が大幅に下落するような事態は再選を目指す大統領としては避けたい。そこで貿易交渉でハードポジションを取り過ぎると株式相場が下落するので、アクセルを緩める訳だ。
米国にはもう一つの武器がある。それは連銀の政策金利引下げという武器だ。
関税競争による景気減速を防ぐためにトランプ大統領は連銀に金融緩和策を取るように求めている。
物価と雇用の番人である連銀がすぐにこの要請を受け入れるとは思わないが、短期金利先物市場では政策金利の引き下げをある程度織り込み始めている。金利先物市場では今年年末までに連銀が金利引下げに動く可能性を22%と予想している。一カ月前の時点での予想は6.9%だったから、先週の米中貿易交渉不調を受けて市場の金融緩和予想は急速に高まった訳だ。
もっともパウエル議長がホワイトハウスの意向を受けて予防的な金利引下げに動くことはないだろう。
従って現段階で早期の金融緩和を期待するのは読み過ぎ、というものだろう。
ただ米国は景気が相当悪くなってもそれをカバーする政策金利引下げという武器を持っていることは注目しておいて良い。
日本の新聞では「米中関税競争の早期打開」期待する声が高いが、私は米国にこの機会に中国の貿易関連の不正取引是正に努めてほしいと考えている。著作権保護の強化などは総ての貿易パートナーの利益につながる。また中国も経済大国として持続的発展を続けるには、正すべきところは正す時期に来ていると思う。