今日(5月7日)から10連休明け。相場関係の記事では「令和相場の幕開け」の文字が躍っている。
だが2時現在の日経平均は330円(1.5%)ほど下落。余程の好材料がでない限りこの近辺で引けそうだ。
10連休の間米国株は比較的順調だった。4月の雇用統計は非農業者雇用者増が263千人とアナリスト予想を上回り、失業率は3.6%と前月と同水準、時間給の伸び率も3.2%とアナリスト予想より低かった。これらは落ち着きどころの良い数字だと思う。
米国株式相場が大きく動いたのは、月曜日。日曜日にトランプ大統領が、中国との貿易交渉の遅れに業を煮やし今週金曜日に2千億ドルの輸入品の関税を倍以上に引き上げ、更に3250憶ドルの輸入品に25%の関税を課すかもしれないとツィッターで報じた。
これを受けて月曜日の米国株は急落で始まり、ダウは一時は470ポイントまで下げた。市場はトランプ発言に対する中国の出方に注目していたが、中国交渉団は今週木金とワシントンを訪問する予定に変わりがないことがはっきりしたので、株価は値を戻し、最終的には67ポイント安で取引を終えた。
日本株はこの地合いと円高を受けて急落している訳だ。
現在の日本株を動かしているのは、米国株を中心とした世界の株価動向だ。更にいうと、米国株が上昇した時は追随して少し日本株が上昇し、米国株が下落した時は輪をかけて日本株が下落する傾向が強い、と私は考えている。
そして米国株を動かしているのは、米連銀の金融政策と米中貿易交渉だ。
その米中貿易交渉にはトランプ流駆け引きが付いて回る。これが一種のノイズとなって市場をかく乱する訳だ。
つまり日本株は当面米国の動向に引き回される。
令和についてWSJはBeautiful harmony=美しい調和という説明を加えていたが、米中交渉担当者が美しい調和を目指しているとは限らない。むしろ自己のタフネスさを如何に国民にアピールするか?ということに腐心しているようだ。
「令和時代の株式取引」という意味であれば、令和相場というものは言葉としては存在する。
しかし「令和相場」を新元号下の上昇相場と考えるとそんなものはない。もちろん日本株が今後上昇することはあるかもしれないが、それは元号が変わるからではない。海外相場と海外投資家のリスクテイク力がプラスに働くからである。
「令和相場」などというのは、証券会社の旗振りに過ぎないと私は考えている。