MSNニュースに「日本の指導者のコロナ対応が、調査対象の政治・経済・地域社会・メディア全分野で世界最下位、総合指数も最下位の評価を受けた」という記事がでていた。
これはシンガポールの調査機関Blackbox ResearchとフランスのTolunaが世界23ケか国で約12,500人にオンライン調査を行ったものである。
世界で一番高い評価を受けたのは、コロナウイルス発生場所の中国で100点満点の85点。二番目がベトナムで77点、以下UAE,インド、マレーシア、台湾とアジア諸国が続いている。
感染者世界最大の米国の点数はドイツと並んで100点満点の41点でランキングは14位。
日本は感染者の割合などは世界的に見て悪い訳ではないが、評価は100点満点の16点と断トツに悪かった。
どうして日本の指導者の評価が際立って悪いのだろうか?
BlackboxのCEOは「日本の低評価は、緊急事態宣言の遅れなどで安倍政権の対応に批判が続いていることと合致している。間違いなくコロナウイルスの指導力のストレステスト(特別検査)で落第した」と分析しているが、この分析で十分なのかどうかは分からない。
私は次のような問題が新型コロナウイルス感染拡大対応時に国民の不満として噴出したと考えている。
第一にマイナンバーカード活用の不徹底など時代遅れの行政に対する不満だ。もしマイナンバーカードが国民に徹底していたとすると「マスクの買い占め」問題などは防止できた。つまりマスク購入時にマイナンバーカードを使って個人別の購入=保有枚数を確認すればよいのである。マイナンバーカードを提示しないと買えないような仕組み(高齢者や病気の人のために代理申請制度は必要)を作るべきだったのだ。
第二に専門家の意見の利用方法である。コロナウイルス感染拡大防止について実は定説がある訳ではない。徹底的に感染防止で防げるという考え方もあれば、集団免疫を作る以外にコロナウイルスを削減する方法はないという意見もあるのだ。スウェーデンは後者の考え方に立つ。つまり「専門家の意見」というのは必ずしも定説ではない。またすべて政策にはTrade offというものがある。つまり八方美人的には行かないのである。極端にいうと総ての国民が自宅からでないような体制を作ることができるなら、極一時的には感染防止はできる。だがそれでは食料の生産・配送もできないから国民はまもなく餓死してしまう。これは極論だが、すべての政策は「何かを守ろうとすると何かを失う」ものなのである。それを決めるのは専門家ではなく、政治家なのだ。現在の日本の政治家にはその認識が欠けていたのだ。
第三の点は日本人は悲観的で批判的にものを見る傾向があるという点は割り引いて考える必要があるだろう。色々批判はあるけれど感染者数や死亡者の割合も世界的に見ると低いのだからもう少し点数をあげてもいいんじゃないか?という気もするが如何なものだろうか?