北朝鮮がソ連からの支援が終了した1990年代以降で最悪の食糧危機に見舞われていることは、既に報じられているが、昨日WSJが記事で大きく取り上げていた。東アジアを取り巻く情勢を考える上で、米国を中心に西側の世論に影響を与えるだろう。
北朝鮮は今週農業と経済に関する4日間の緊急会議を開いた。韓国政府の関係者によると、このような会合は珍しく食糧不足の深刻さを示しているという。
食糧不足の原因はコロナ感染拡大防止のための国境規制と自然災害だ。
北朝鮮は昨年5月に、1981年の計測開始以降2番目にひどい干ばつを記録し、夏には中国との国境沿いの町が大雨で浸水した。
韓国政府によると、北朝鮮の昨年の穀物生産量は推定450万トンで、2021年から3.8%減少した。韓国の諜報機関は北朝鮮が2,600万人の人口を養うには約550万トンの穀物を必要としていると述べている。
これは私の注釈だが、国連食糧農業機関によると、平均的に人は年間300~400kgの食料を消費するというから、26百万人の国民は9百万トン位の食料を食すると推測することができる。
韓国の諜報機関の見積もりでもかなり少ないが、450万トンでは国連が示す数字の半分程度でしかない。つまり相当ひもじいことは間違いない。
実際国連食糧農業機関が昨年発表した報告書によると、パンデミック時に1,000万人以上の北朝鮮人が栄養失調と飢餓に苦しみ、北朝鮮の子どもの1/5が成長障害に苦しんでいる。
米国務省の推計では、北朝鮮は国内総生産の1/4近くを軍事費に充てている。韓国国防分析院の推計では昨年北朝鮮は3.4億ドル~3.5億ドルを弾道ミサイルの発射に費やしており、これは北朝鮮の人々の数カ月分の食糧を賄える金額だという。
大規模の干ばつ、洪水は地球温暖化の影響もあるが、長年インフラ整備がおろそになってきたつけも大きいはずだ。
北朝鮮は、米国や韓国の人道支援を拒否している。金政権の言い分は「毒飴を受け取って経済を活性化させようとするは間違いだ」ということだが、毒であれ何であれ、多くの北朝鮮人は口に入るものなら何でも欲しいと思っているのではないだろうか?