色々な面で企業や役所のサービスが低下していると感じることがありますね。
たとえばオンラインサービスの不備について電話で照会しようと思っても、電話番号が見つからない、あるいは運よく電話番号を見つけても、延々と機会音声で前口上を述べられその挙句担当者につながるまで延々と待たされるなど。
あるいは外から見て空席が結構あるので入ろうとした飲食店でテーブルの片づけのために延々と待たされるとか。
サービスレベルが低下しているのは日本だけではありません。今アメリカでは製品やサービスに対する顧客トラブルが過去最高のレベルに達しているという記事がWSJに出ていました。
記事によると調査対象となった1,000人の顧客の内、約74%が過去1年間に製品やサービスに関する問題を経験したと回答しています。
これは2020年の調査による66%、2017年の調査による56%から上昇しています。同様の調査が初めて実施された1976年には32%の顧客しか問題を経験しなかったそうです。
トラブルに対して顧客側も黙ってはいません。
ホワイトハウスの調査によると、最も深刻な問題についてソーシャルメディアに投稿した苦情者の割合は32%で2020年の調査の倍以上になっています。
ソーシャルメディアの発達が「苦情の民主化」を進めているのです。
また47業種400社以上に対する顧客満足度を0~100の点数で分析する「アメリカ顧客満足度指数」は、2018年の77から2022年には73.1になりました。
記事はこの指数の28年の歴史の中で最大の低下になったと述べています。
顧客の怒りについて調査している機関によると、顧客が企業に求めているのは25%が「問題が発生した理由の説明」24%が「謝罪」23%が「問題が二度と発生しないことの保証」だそうです。しかし企業側が「問題が発生した理由を説明」したのは9%、「謝罪」が18%、「保証」が9%だったということです。
記事にはなぜ近年顧客の苦情が増えているのか?という原因分析はありませんので、私の推測を書いておきます。
まずここ数年の製品やサービスの質の低下の最大の原因はコロナによる人手不足やサプライチェーンのほころびがあります。
次に人工知能を使ったテレオペレーションなど、顧客サービスのロボット化です。残念ながらロボットは人間の苦情処理係ほど顧客の怒りや悩みを共感することができませんから、顧客の不満を増長させている可能性が高いのです。
最後に身近に目にするところでは、「レジの自動化」を進めるスーパーなどが増える中で特に高齢者向けに親切なアドバイスを行うところが少ないということです。大規模店舗の場合は、人手に余裕があるので、操作に手間取っている人がいるとサポートしてくれる人が来てくれることが多いのですが、人手に余力のない小規模店舗の場合は、顧客が立ち往生していることを目にすることがありますね。
人手不足とそれを補うためのロボット化が、少なくとも日本の場合は顧客クレームの原因または背景だろうと私は考えています。