昨日(8月7日)の米国株式市場は、債券金利の急落を受けて、大幅に下落したものの、引けにかけて債券金利が上昇して、株価も戻るという慌ただしい動きだった。CNBCの記事を読むとトレーダーたちが注目していたのは人民元相場だった。人民元が対ドルで下落すると、トレーダーたちは中国政府が貿易戦争の長期化を図り、上昇ないし安定すると中国政府が貿易戦争の早期決着を図るという読みだ。
少し前までトランプ大統領が、米中貿易戦争の主導権を握っていると考えられてきたが、彼が3千億ドルの輸入品に10%の関税をかけると発表した後、主導権は一旦中国に移ったかのように見える。
中国政府は米国から農産物の輸入を見合わせることで、トランプ大統領の支持基盤である中西部の農家や工作機械メーカー(ディアなど)に揺さぶりをかけている。
中国政府の戦略は、トランプ大統領との貿易交渉を引き延ばし、彼の再選を妨げるような行動にでることにある。
景気拡大と株高に支えられたトランプの支持率は、景気後退と株安により低下し、再選の見込みがなくなるという読みだ。
ただし中国にとってこの戦略は危険なかけでもある。何故なら元安政策は米ドル建て借入が多い企業の元利払い負担を増加させるし、貿易戦争の長期化は中国経済の一層の減速を意味し、政権基盤を揺るがす可能性があるからだ。
相場はファンダメンタルから離れ、予想が難しくなった。多くの投資家が予想が難しいと判断するとリスクオフになり、下押しとボラティリティの上昇という悪循環が起きる。
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