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最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「このままでは国家財政は破綻する」~文藝春秋で矢野財務事務次官

2021年10月07日 | うんちく・小ネタ
 衆議院の総選挙(10月31日投票予定)が近づき、各党の公約を目にするようになった。コロナウイルスの影響が続く中、消費税の減税を含め、減税・財政支出拡大を唱える党が多い。
 選挙民には甘いささやきだが、崖っぷちの日本の財政を考えると極めて無責任な公約である。
 投資に関心のある方であればご存じだろうが、今米国議会は国債の発行上限問題で揺れに揺れている。最新の情報では共和党が11月末までの短期的な上限引き上げに合意する提案を出したそうだから当面のデフォルトリスクは回避される可能性が高い。
 この問題に冷や冷やしている投資家も多いと思うが、私は米国には野放図な国の借金拡大を抑える仕組みがある点で健全だと考えている。
 ちなみに今月号(十一月号)文藝春秋の「このままでは国家財政は破綻する」によると、米国の財政赤字比率(一般政府債務残高/GDP)は127.1%で我が国の256.2%の半分以下だ。米国の財政状態もドイツ68.9%、英国103.7%に比べて悪いが、日本の状況はまさに崖っぷちである。
 景気回復のために減税や財政投融資拡大を唱える政党の声は耳ざわりが良いのでマスコミでも目を引くが、文藝春秋が敢えて、財務事務次官の正論を掲載したことは評価したい。
 矢野次官の意見は明快だ。「バラマキ合戦のような政策論が横行しているが、日本の状況はタイタニック号が債務という氷山に突進しているようなもの」「消費税率の引き上げは高齢化時代の社会保障を持続させるために三党合意で決めたもの」というところがポイントだろう。
 矢野次官はバラマキ政策の代わりに一つの提言を行っている。ここは原文をそのまま引用しよう。
「いま日本で真に求められているのは、『金を寄越せ、ばらまけ!」というよりも、いざという時の病床確保であり、速やかがワクチン接種であり、早期の治療薬の提供であり、ワクチン・パスコートなどの経済活動をうまく再起動させるためのイグニッション(点火装置)の方です。」
★      ★
良薬は口に苦けれども病に利あり。忠言は耳に逆らえども行いに利あり、だと思いますが如何でしょうか?

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