今日(2月14日)の日経新聞朝刊「交友抄」は近畿日本ツーリストの太田社長が書かれているが二つの点で興味深かった。一つは交友相手の高橋健氏。現在新光証券の常務としてご活躍だが、以前は同じ会社の先輩だった。同氏が魚釣のリールのコレクターであることは有名(私は拝見したことがないが)だが、英語の達人でありお話の上手な方である。面識のある方が良い話題で紙面を飾るとなんとなく朝から気分が良い。
もう一つは太田社長が「旅行業界は『個』の『ウオンツ』をいかに取り込むかという発想の転換が求められている」という一文。これを読んで私は昔米国で不動産ローンのリストラ交渉をしていた時相手方の米国人からこう言われたことを思い出していた。
I will give you what you need, but will not give you what you want.
要は「お前がローンをリストラし継続するに最低必要限の譲歩はするが、満額回答はしないぞ」という決めのセリフだ。このNeedとWantの話は面白いので私も何度か人前で語ったことがある。
例えばシステム開発では開発責任者に対して「ユーザーのニーズには対応しろ。しかしユーザーのウオンツつまり『あれば役に立つ』といった程度の要求は徹底的に切れ」という具合に。
しかし小売業やサービス業の観点からするとこれは逆の様だ。つまり消費者のニーズは既に満たされている。生活に必要なものは家の中に溢れている。そこで消費を喚起するには一段の上の「本当に欲しい」ものやサービスつまりWantを売らないといけないという訳だ。だが人の時間や金には限りがある。消費者も自分の本当に欲しいものは何かを考える必要があるだろう。それはひょっとすると余りお金のかからないものであるかもしれない。例えば爽やかな風が吹きぬける木立の中にハンモックを吊って、好きな小説や詩集を読むという様に。
いずれにせよ今日は朝から思い出深い話が重なった。