先週末以前に自宅の近所に住んでいたご夫妻が上毛高原に家を建てたというのでワイフと訪問した。この機会に谷川岳の東面一ノ倉沢を見たり、尾瀬ヶ原を散策しようという欲張りな計画である。
このご夫妻~O夫妻~は長年東京で社宅住まいをされていた頃から、退職後は田舎に定住するご予定だったとのこと。O夫妻のお宅は上毛高原駅から車で2,3分、歩くと20分程度のところにある。敷地面積は裏の竹薮を含んで約三百坪とのこと。敷地内の畠には大根・トマト・なす・カリフラワー等が一杯育っている。「子供の頃から宮城県でお百姓仕事の手伝いをしてきたので、退職後は畑仕事をするのが夢だった」と真っ黒な顔でおっしゃるOさんは62歳。昨年大手サービス業をご退職された方だ。奥様も大分県ご出身で田舎住まいが好きとのこと。永住の積りなので、ご近所とも積極的にお付き合いしてお葬式にも早速参加されたということだ。
お昼には奥様手作りの巻き寿司と筍の煮物などを頂く。O夫妻は永住地を求めて熱海や富士山麓等色々見て歩かれたが、ここが一番気に入り上毛高原を終の棲家にされたとのこと。食後ご主人に見せてもらったが、ナイロンのガレージの中に小型耕運機が納まっている。聞くと16万円したとのこと。他に色々な形の鋤・鍬が並んでいる。百坪・二百坪の畠を作るのは容易なことではなさそうだ。
「ご主人は山やアウトドアがお好きだから、退職後は田舎で暮らすのでしょ」と奥様に聞かれた。「うーん・・・といっても家内はそれ程田舎が好きでもない様だし」と余り自信のない返事の私。実際退職後どこでどう暮らすなどまだまじめに話あったことがない。数年先のことなのだが、「その時になって考えようか?」と先延ばししている。
Oさんの家の前から谷川岳が良く見えた。私達はOさんから大根2本とサラダ用の菜っ葉をお土産に頂き、谷川岳山麓の一ノ倉沢に向かった。
「お天気が良い時は畑仕事があるから、良いけれど雨の日夫婦二人だけなら退屈しないかしら?」と車の中でワイフが言った。ワイフは私が本気で田舎住まいを提案することを恐れているのである。京都の街中で生まれ育ち、自然の暮らしに不慣れなワイフは老後は時々都心に出かけてお芝居を見たり、買い物をすることを楽しみにしている様だ。それに夫婦二人だけだと、気詰まりになることも多いと思っているのだろう。我もまた然り。
「まぁ、暫くOさん夫婦の様子を見ようよ」と私は応えた。山スキーや沢登で通いなれた湯檜曽川沿いの道を軽快に車を走らせる。新緑の香りが心地良い。水上一帯は私の好きな土地だ。しかし時々来るということとそこに永住するということは全く別のことだろう。「夫婦二人の田園生活がどうなるか2,3年様子を見てみよう。それから私達のことを考えてもいいな」と私は思った。
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