昨日(1月15日)欧米の金融市場を驚かせたのは、スイス中銀がスイスフランの対ユーロ上限を突然廃止したことだった。これまで3年間スイスフランは対ユーロ1.2を上限とし、そのためスイス中銀はフラン売り・ユーロ買いの介入を続けてきたが、それが限界に達したと判断したようだ。上限廃止のニュースにスイスフランは一時対ユーロ・対ドルで30%急騰した。
このスイス中銀の動きはどのような影響を市場に与えるのか?
WSJによると少なくとも5つの問題がある。
1.スイスの輸出企業の業績悪化懸念
2.ユーロ圏諸国特に周辺国の国債価格下落懸念
3.スイスフランを空売りしていたヘッジファンドへの打撃
4.スイスフラン建て住宅ローンを借りている東欧諸国の消費者への打撃
5.中央銀行への信頼が揺さぶられる懸念
3番のヘッジファンドの打撃に関する記事の中に次の一文があった。
That was no doubt reinforced by a view that the SNB’s commitment to the franc floor was copper bottomed.
スイス中銀のフランの上限(ユーロ側から見るとフロア)を維持するというコミットメントは絶対安全なものという見方により、これ(スイスフランの空売り)が補強されていたことは疑いなかった。
Copper bottomedは「銅でできた底」で、金融アレンジメント等が絶対安全であるという意味のイディオムだ。
スイス中銀は先週まで、対ユーロの上限を維持する姿勢を示していたので、ヘッジファンドは金利が低いスイスフランを借りて、それを市場で売却して、高いリターンが期待できる取引に振り向けていた。ところがスイスフランが急騰したことで、買戻しで損失が発生することが見込まれる。
痛手を被ったヘッジファンドは益出しのために、色々な株を売りに回るだろうから、世界の株式市場は不安定な動きになるだろう。
ところでユーロとともに値を下げた米ドルについては、安く買う機会のような気がする(対円で一時115円台に入った)が、如何なものだろうか?
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