金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

本気の冬山~八ヶ岳連峰・横岳

2005年12月06日 | 

山と渓谷12月号は「本気の雪山」特集を組んでいた。その影響を受けた訳でもなかろうが、相棒のM君が「本気の冬山に行きたい」という。本気の冬山とは何か?私の定義では「標高2,500m以上又は豪雪に植生が完全に覆われた雪一色の山」「登山時期は12月から3月」「アイゼン・ピッケル必携場合によってはザイルを使う」という登山だろうか?今回の横岳縦走は登山時間は短いもののほぼ「本気の冬山」の条件を満たしている。

さて12月3日(土曜日)午前9時前に西東京の自宅を僕のエクストレイルで出発。エクストレイルは既にスタッドレスに履き替えてあるので雪対策は万全である。ゆっくり走って午前11時半頃美濃戸到着。駐車料金は1日1,000円で2日分2,000円を払う。赤岳鉱泉にはゆっくり歩いて午後1:50到着。小屋の前では写真のとおり人工氷壁作成中である。氷壁が完成するとここでアイスクライムの練習をするらしい。曇り空から細かい雪が舞う寒い一日だった。

icetower1

4日(日曜日)は午前5時起床。昨日はよそのおじさんの鼾で中々寝入れなかったが、それでも6時間位は寝たのだろう。体調は悪くない。それにしても耳栓を持ってこなかったことが悔やまれる。山小屋で耳栓は必須なのだ。5:45真っ暗な中を硫黄岳に向かう。一瞬大同心沢への道に入ってしまったが、直ぐ引き返し午前8時に硫黄岳頂上に立つ。下の写真は硫黄岳手前から見た赤岳と阿弥陀岳である。

amida

硫黄岳頂上は風がきつい。写真は頂上から見た天狗岳と蓼科山。

iowtop

数枚の写真を撮って直ぐ硫黄岳と横岳のコル・大だるみに下る。硫黄岳山荘の横で一休み。M君がむいてくれたリンゴを食うためオーバー手袋を暫く外す。ところがこれが後でこたえた。横岳へ登りだして暫くの間、手がかじかんで痛くてたまらなかった。体感温度はマイナス15度位なのだろうが、年を取ると毛細血管への血の巡りが悪くなるのか手の指先が冷える。

さて険路といわれる横岳だが、右に大同心の頭を見ながら奥の院(主峰)に向かう。ここはほぼ稜線を忠実に辿るが一部佐久側をトラバースするところがある。これが通称カニの横ばいだろう。

yokodake

9時36分横岳(2,829m)頂上到着。ここから石尊峰を越え、鉾岳に向かう。鉾岳は諏訪(西側)をトラバースするが、稜線からトラバース路へ下るところが中々高度感がある。今日は積雪が50cm位なので問題ないが、深雪時やクラストした時は要注意だ。次に日ノ岳は佐久側を通り、最後は二十三夜峰に出る。ここも佐久側をトラバース気味に下る。午前11時地蔵ノ頭到着。ザイルを使うことがなかったので、ほぼ夏並のペースで横岳を縦走したことになる。雪は相当強くなり降ろうとする足元から吹き付けてくるので思わず顔をそむける。地蔵尾根の降りは急だ。鎖や鉄梯子を使い慎重かつ大胆に降る。行者小屋には11時40分着。それから南沢を通り13時30分美濃戸着。エクストレイルには雪が積っておりフロントガラスの除雪にちょっと苦労する。

車で20,30分走り富士見高原の「鹿の湯」http://happoen.com/home/index.htmで冷えた体を温めた。鹿の湯は温泉としては余り特徴がないが、洗い場や浴槽が大きくて気持ちが良い。入浴料が5百円というのも好感が持てる。温泉を出て車に戻ると又雪が積もっている。高速道路も雪で50km規制を行なっていた。今年初めての本格的な雪が降ったということである。

こうして今年の私達の「本気の冬山」第一幕は無事終了した。

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エコノミスト誌、日本の不動産市場を懸念

2005年12月02日 | 社会・経済

日本の株式市場が活況である。昨日(12月1日)日経平均が終値で5年振りに1万5千円を回復した。日経新聞で市場関係者の意見とやらを見ると来年3月末までの高値を1万6千円程度と見る向きが多いが、本日も2百円近い上げでありこの勢いでいくと、1万6千円など数日で達成しそうだ。まさにミニバブルの様相を呈している。歴史は繰り返すものなのだろうか?

と思っていたらエコノミスト誌に「日本の不動産市場は再バブル」という記事が出ていた。記事の内容自体目新しいものでも、深く突っ込んだものでもないが多少市場に警鐘を鳴らすものだろう。もしエコノミスト誌が今後も日本の不動産市場について記事にするようなことがあればそれこそ要注意だ。以下記事のポイント。

  • 最近日本で18のホテルが建物崩壊のリスクから閉鎖された。幾つかの共同住宅もまた詳細な検査を受けているところであり、住民は退去させられる可能性がある。(余談だが協同住宅にFlatという用語を使っている。日本で誤用しているマンション=Mansionは大邸宅の意味なので軽度の地震で崩壊する建物がマンションである訳はない)
  • この耐震強度偽装スキャンダルは特に住人や物件所有者を苦しめているが、日本の不動産市場に身震いさせるような思いを送っている。そして急成長しているREITs市場を傷つけるかもしれない。
  • 3~5%の賃貸利回りと長期国債1.5%の利回り格差はある種の地域の物件を魅力的なものにしてきた。またREITsやプライベート・エクイティは邦銀から超低利の借入を行なっているので、幾つかのファンドは投資家に20%もの利回りを約束している。
  • これらのファンドは幾つかの地域で不動産価格を押し上げてきている。大部分のファンドは殆ど開示を行なっていないので、数字は不完全なものだが、三井不動産によれば、REITsと私募不動産ファンドの合計額は10兆円(REITsは3兆円強)でこれは日本の投資適格クラスの不動産の10~14%に相当する。三友システム鑑定はこれを「再バブル=re-bubble」と呼んでいる。
  • 不動産価格が上昇しているのは、限られた地域なのでこれは15年間続いた不動産市場のスランプが終わりの時期になったという楽観的な考え方もある。しかし三友はそうではなく再バブルは1年程度ではじけると言う。三井不動産のデータによれば、2000年から昨年の間に東京中心部の商業不動産の賃料は約四分の一下落している。
  • またUBS東京はREITsは長期的投資家の傾向があるが、市場の四分の三を占める私募不動産ファンドは半年から3年で物件を売る意図なので、物件価格の確固とした底支えとはなり難い。
  • またREITsは借入比率が6割であるが、魅力度の低い物件を保有する私募ファンドは借入比率が9割に及ぶ。このことは日本の銀行、特に小さな銀行に対する疑問を投げ掛ける。ファンド向けのローンはノンリコースローンなので、物件の関係会社による救済は望めない。またより小さな銀行は投資家としてREITsにも投資しているので彼等のリスクは倍になっている。
  • これがどれ位の懸念材用であるか?1980年代の規模でないことは確かだ。しかし誰も実態を知らないことでは当時と同じ悩みの種である。監督当局でさえ大部分の銀行がどれ程不動産ファンドに融資しているか検討がつかないことを認めている。銀行は手痛い眼にあっているが、用心深くはなっていないのである。

私としてはこの件についてエコノミスト誌の予測が当たらないことを希望している。しかし日本株の復活を含めて、過去を見るとかなりの確度でエコノミスト誌の予測は当たっているのである・・・・・・Be shyというほかない。

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