金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【イディオム・シリーズ】中国鉄道のcorner cut

2011年07月25日 | ニュース

先週土曜日(7月23日)中国の折江省温州市で中国の高速鉄道で大きな事故が起きた。25日日経新聞朝刊によると、死者35名・負傷者192名となった。

今回事故を起こしたのは、第一世代の高速鉄道で最高速度250km。先月開業した北京・上海間の時速300km(当初計画は350km)の新幹線より前の世代だ。

中国の高速鉄道が問題含みであることはこのブログで2月に紹介した。http://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20110220

今回の事故は2007年に開業した中国新幹線の初めての大きな事故だが、FTによると今回の事故でcorners have been cutに対する懸念が高まっていると報じている。

Cut cornersとは直訳すると「角を切って近道をする」という意味だが、転じて「節約のため手抜きをする」という意味だ。中国当局は、今回の事故の原因は落雷によりスピードの落ちた列車に後続列車が追突したことによると説明しているが、問題の根は深そうだ。政府は全国的に新幹線の運行を止めて安全チェックを始めると報じているが、中国の高速鉄道にはご用心。

そして今後色々なところで中国のcorner cut問題が出てきそうな感じがする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多摩湖から穂高が見える

2011年07月24日 | うんちく・小ネタ

24日日曜日晴、気温は高くなくカラッとしている。夏としては滅多にない好条件なので多摩湖までサイクリングに行った。小1時間で多摩湖に着くと、西の空に山並みが広がっていた。

写真の右手は東京の最高峰雲取山だ。視界は広いがいくら背伸びをしても、穂高連峰を見ることは物理的には不可能だ。

だが心の中で穂高を見ることはできる。再来週僕らの会社の山仲間は北穂高から奥穂高への縦走に向かう。今日はそのプライベートなトレーニングなのだ。穂高を目指して40km程自転車を走らせてみた。アップダウンの多い坂を走りながら「ここを全力疾走しないと穂高は遠いよ」と自分に言い聞かせながら、多摩湖を取り巻く緑のトンネルの中を走った。

ただ歩いている人、犬を連れた人、一生懸命ランニングする人、自転車でゆっくり走る人、ロードレーサーを真剣に漕ぐ人。多摩湖自転車道には色々な人がいる。

人は皆自分の「穂高」を抱きながら走り続けるのだろうか?それは分からない。

分かっていることはただ一つ、私にとって多摩湖の向こうに穂高が見えたということだ。何歳になっても走り続ける限り、届かないゴールはない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安曇野・松本駆け足旅行

2011年07月24日 | 旅行記

7月22日ワイフと安曇野・松本を駆け足で旅行した。NHKの朝ドラ「おひさま」の話題からワイフが「松本城にいったことがない」と言い出したので、松本に行くことにした。松本日帰りでは忙(せわ)しないので、美ヶ原に一泊することにして、22日(金曜日)は安曇野と松本を見物してから美ヶ原に登ることにした。

金曜日の朝の中央自動車道は空いていたが、大月・勝沼の間で事故渋滞が発生。大月で一旦高速道路を降りて甲州街道を走り、勝沼で又高速に戻った。その他しばしば「草刈による一車線通行」などで予想外に時間がかかった。

豊科ICで高速を降りてまず「碌山美術館」http://www.rokuzan.jp/に向かった。碌山はここ安曇野生まれの彫刻家・萩原守衛の号。JR穂高駅より少し北にある碌山美術館には碌山の絶作・女をはじめ多くの作品が展示されている。

写真は入り口の「労働者」の像

Labor

入り口左手の教会風の展示館「碌山館」

Rokuzan

碌山美術館を出ると昼時である。予定通り「大王わさび農場」に行きそばを食べることにした。美術館からわさび農場は車で10分程度だ。途中穂高神社の横を通ったが時間の都合から今度にさせて頂くことにした。

ワイフはさておき私は2週間後に奥穂高岳に登る予定で、そこにある穂高神社の嶺宮(頂上のお宮)をお詣りさせて頂くことにした。

大王わさび農場は「おひさま」効果もあり平日ながらかなりの人手だ。そばを食べた後、清流のほとりを少し散策した。

Wasabien

わさび田の奥にお社があった。

Daiou

このお社は「魏石鬼(ギセキ)八面大王」を祀っている。大王わさびの「大王」の地名はこのお社に由来する。社の横の石碑によると八面大王とは1200年前(延暦年間)に活躍した原住民族の王。王は坂上田村麻呂との戦いに破れここに葬られた。

というようなイワレがあるのだが、観光バスで押し寄せたオバサン連中はそんなことには毛筋ほどの関心も示さず、おみやげ買いに熱中していた。だから「大王わさび農園」は繁盛するのである。

わさび農園を出て車を松本城に向けた。後知恵だが松本城の近辺で駐車するなら、松本城の北側で松本神社の西側にある市営駐車場が良い。なぜならここに駐車すると松本城ともう一つの観光名所・旧開智学校(重要文化財)を簡単に回ることができるからだ(私達は城の南側に駐車したので炎天下をかなり歩いた)

写真は松本城の門。柱の上の金具がきれいだ。

Matumotojyou

これは南側から見た天守閣と小天守。

Shiro1

私は西側から見た松本城が一番美しいと思う。

Shiro3

天守閣に登ると西側から涼して強い風が吹いていた。北アルプスや乗鞍岳方面から吹く風だから涼しいのだ。

写真は東側の窓からみたところ。こちら側は風が吹かず古い建物の中でも少し蒸し暑かった。

Shiro2

旧開智学校はハイカラな建物だ。

Kaichi

校舎の入り口に龍の飾りが付いていた。

Kazari

松本城と旧開智学校を見た後、冷たいものを飲んで一息入れて、美ヶ原に車を向けた。

浅間温泉を抜けて武石峠から自然保護センターの駐車場に向かうルートは途中の美鈴湖まで結構道が狭かった。山の上のホテルに入ることを考えると3時半には松本を出たい。

駆け足旅行だったが、朝東京を出て美ヶ原へ登る前に安曇野・松本を回るとするとこのような旅程になるのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美ヶ原・雲

2011年07月23日 | 

7月22日金曜日。一日休みを取ってワイフと美ヶ原山頂の王ヶ頭ホテルに泊まりに行った。2000mの山頂に立つこのホテルは中々の人気で、土曜日の空室を見つけることが出来なかったので、金曜日休みを取った次第だ。

東京の自宅を車で出て安曇野・松本を散策してから美ヶ原に登った。安曇野・松本の話は別のブログに書くとして、美ヶ原の風景の何枚かの写真を紹介。

安曇野は良く晴れていたが、車を一晩停める美ヶ原自然保護センターの手前から霧が出てきた。ホテルについて霧は一時的に切れることはあったが、北アルプスを初めとする四方の山の景色を見ることはできなかった。

そこで雲の写真を取った。

風に乗って山の稜線を越えた雲が斜面に沿って滝のように落ちていく様子を「滝雲」という。西から美ヶ原牧場に流れてきた雲は急な断崖を滑るように落ち始めた。

Takigumoafternoon

23日の朝日の出は午前4時45分と聞いていたので、4時半頃ホテルの外に出ると大勢の人が既に東の空を見ていた。ただし雲が厚く山の姿はほとんど見えない。

Risingsun

太陽が雲の中から現れたのは午前5時だった。遠くの山は雲の中だが、近くの蓼科山はうっすらと雲の中に浮かんでいた。

Tatesina

目を谷に向けると標高千メートル程のところに雲が流れていた。

Sizumukumo

美ヶ原(王ヶ頭)からは日本の総ての3千メートル峰を見ることができるというが、この日も雲に阻まれて一つもみることが出来なかった。ホテルの人によると、空気が湿っている夏は美ヶ原にはしばしば雲が湧くということだ。「高い山の写真を撮るなら冬がオススメです」ということだった。

だが真夏の美ヶ原も良かった。爽やかな風に吹かれて、雲を見る夏の日もおつなものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独仏eleventh hourにギリシア救済合意

2011年07月21日 | 英語

今日(21日)ギリシア救済について欧州サミットが開かれるが、それに先立ちメルケル首相とサルコジ大統領の間で基本的な合意ができたというニュースが市場に流れている。

ところでギリシア救済問題や米国の債務上限引き上げ交渉に関する記事で使われるのがat eleventh hourという表現。最初は夜の11時か?と読み飛ばしていたが、毎回11時というのは変だし、第一11時であればeleven o'clockではないか?と思い少し調べてみた。するとEleventh hourというのは「土壇場で」という慣用句で、聖書のマタイ伝に語源があることが分かった。さらに調べてみると午前6時がスタートで11番目の時間というのは午後5時ということが分かった。マタイ伝によると、あるぶどう園のオーナーが、ぶらぶらしている人に一日一定金額で農園の仕事を与えた。ただし朝6時から働いた人も午前9時から働いた人もぎりぎりの午後5時に働いた人も貰える日当は同じ。不公平な感じだが。

余談が長くなったが、エコノミスト誌にEach time European policymakers reacted similarly: with denial and dithering,followed at the eleventh hour with a half-baked resucue plan to buy timeという文章が出ていた。

(南欧諸国の債務危機が起きると)毎回欧州の政治家達は同じ反応を示す:否定と優柔不断、そしてその後は土壇場になって時間稼ぎのための中途半端な救済プランが続く

この記事の中でエコノミスト誌は「中途半端でない本格的な救済プラン」の骨子を提案していた。それは「明らかに支払不能に陥っている国の債務の削減(債務免除)」「債務免除により毀損した欧州の銀行の資本再構築」「支払い不能に陥っている国と支払能力のある国の間のファイヤーウオールの構築」である。

そしてエコノミスト誌はユーロ圏はEFSF(欧州金融安定ファシリティ)を拡大するとともに、連帯保証による「ユーロボンド」を発行する必要があると主張する。そしてこれは特にメルケル首相にとって大きな政治的飛躍となる。それは気持ちの良い選択肢ではない。ドイツは無責任な南欧諸国に富を無期限に移転することに強く反対しているからだ。だがエコノミスト誌はこの選択肢を取らないとユーロは終わりになると強く警告していた。

☆   ☆   ☆

強い産業基盤と競争力を持つドイツなどと競争力の弱いギリシアなどが同一通貨圏を形成するというのは、下世話なたとえをすると、ゴルフの上手い人と下手な人がスクラッチで勝負をするようなもの。それぞれが独立した通貨を持っていると、競争力の弱い国の通貨価値が下落することで、ハンディを貰うことができたが、同一通貨になるとこのハンディが貰えない。

エコノミスト誌の主張は「ハンディキャップの代わりに、ある程度の負け分をチャラにしてあげなさい。そうしないとゲームエンドですよ」ということを含むものだが、ドイツがそれを受け入れることができるだろうか?

メルケルとサルコジ大統領の合意内容は今のところ詳しく分からない。今日の欧州サミットの合意内容がeleventh hourの生煮えのものであるが、スペインやイタリアなどに押し寄せる債務危機を食い止めるものであるかどうかは、これらの国の債券市場というバロメーターが判定を下すだろう。

それにしても日米欧なんとeleventh hourの決着が多いことか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする