金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米消費者信頼感指数の雪解け

2014年03月26日 | 投資

昨日カンファレンスボードが発表した米国の3月の消費者信頼感指数は82.3と過去6年間で最高のレベルに達した。春の雪解けとともに、消費者信頼感指数が高まった感じだ。

もっともワシントンを旅行している知人のフェイスブックによるとワシントンは雪で4月初旬の桜の開花が心配、とあった。

雪の影響は大きく、2月の新規住宅販売戸数は3.3%下落して、季節調整後で年間44万戸ベース。

車を走らせているとこのところ渋滞にあうことが増えている。通常3月は引っ越しシーズンで渋滞にあうことが多いが、今年はそれに加えて4月の消費税引き上げを前にして、物流などが増えていることが原因だろう。

雪といえば、2月の大雪で一部破損したカーポートを修理することにしたが、工事は4月下旬になる予定だ。ただし業者さんは消費税は5%で結構です、と言ってくれた。

米国ではback and forth(前進後退)を繰り返しながら、少しづつ景気が回復する兆しが見えているようだ。それにともなって株価も行きつ戻りつである。

日本では桜の開花情報が寄せられ始めている。雪解けと花の季節が近づいているが、消費者のセンチメントはどうだろうか?

私の直観では消費税は8%や10%への引き上げで終わることはない、と考えている。

時期ははっきりしないが20%程度まで引き上げないと財政が破たんすると考えている。理由は簡単でそれが先進国の一つの標準だからである。高齢化が進む日本だけが低い消費税でやりくりできるというそろばん勘定が成り立つ訳がない。

必要なことは短期的な買いだめではなく、生活の質の変革なのだろうと考えている。

たとえば、近いところへのお出かけは車ではなく自転車で行く、毎日規則正しい運動を生活習慣に取り入れサプリメントや健康食品、薬などへの依存度を減らすなどである。

もっともこれは言うは易く、行うは難しなのだが。

ただそのような生活の質の変革が定着しない限り、本当の消費者信頼感は高まらないだろうと私は考えている。

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外人の売り倒しはまだ続くか?

2014年03月24日 | 投資

「常識」と呼ばれるものにはしばしば誤りがある。昔は投資信託について日本株投信より外国株投信の方がリスクが高いなどと銀行の窓口で説明をしているのを聞いたことがあるがこれなど投資の世界の「常識」と言われているものの誤りの典型的な例だろう。

リスクを値動きの激しさととらえると、昨年57%上昇した日本株は今年は年初から13%下落している。一方米国株は昨年30%上昇し、今年はふらふらしながらも先週の段階で年初来1%程度の上昇は保った。

値動きの荒っぽさからいうと日本株の方が米国株よりリスクが高いことは間違いない。なぜ日本株の値動きが荒っぽいかというと、利に敏い欧米の機関投資家が大量に資金を動かしているからである。

安倍政権が発足した一昨年の終わり頃から、日本株を買っていた外国勢は今は完全に売りに回っている。

大方のヘッジファンドは日本株への資金配分比率を下げている。中国経済の低迷、ウクライナの政情不安、消費税引き上げによる景気後退懸念等悪材料が多い一方、支援材料となる企業業績の発表は4月下旬だからしばらくは売りが優勢なのだろう。

統計では先々週の外国勢は1.1兆円の売り越しで空売り比率は過去5年間で最高のレベルに達したようだ。

一般に外国人投資家はアベノミクスの第三の矢と呼ばれる構造改革の遅さにイライラし、果たしてやりぬけるのかどうか懸念を高めていると説明されている。恐らくそのとおりである。さらに私の推量を重ねれば多くの投資家はこの国の空疎な議論の長さと具体的で有効な施策を取らない手ぬるさがいつまでたっても変わらないことに匙を投げ始めたのではないか?と懸念している。

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Checkmateとstalemate

2014年03月23日 | 英語

Checkmateチェックメイトという言葉は先日柏市で起きた通り魔事件で容疑者が警察に任意同行を求められた時発した言葉でマスコミに大きく報じられたから覚えておられる方も多いだろう。チェックメイトはチェスの用語で「王手詰」である。転じて行き詰まり、敗北という意味があるが、通常大手を宣言するのは勝利者側、この場合は警察だから、犯人側がチェックメイトというのは少しおかしいかもしれない。犯人側は「投了します」というのが正しいのだろう。私はチェスはやらないので詳しいことは分らないが投了はresignというそうだ。平たくgive upでもいいと思うが。

チェスの用語というと英米の経済紙ではstalemateという表現が使われることがある。Stalemateとは手詰まりの状態。打つ手なしという状態だ。チェスは知らないので、細かい説明はできないが株式相場などが上にも下にも動かない膠着状態を指すようだ。

昨日のWSJを読んだら、米国株は今後しばらくの間このstalemateの状態で非常に狭いレンジの商いが続くという市場参加者の予想が書いてあった。

今世界の主要な投資対象の中で一番パフォーマンスがしっかりしていると思われるのが米国株なのだが、それでも手詰まりの状態と多くの人は考えている。

中国の景気減速、ウクライナの政情不安、消費税引き上げによる景気後退懸念と悪材料が多い日本株だが今後のパフォーマンスはどうだろうか?

消費税でcheckmateになるとは思わないが、何か次の手が打たれないとstalemateが続く可能性はあるだろう。これだけはnever give upでなくてはいけない。

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郵貯から500円の入金、何これ?

2014年03月23日 | うんちく・小ネタ

久しぶりに「郵貯ダイレクト」で通常貯金の異動を確認したところ、500円が二口入金されていた。内容はそれぞれCP1、CP2となっていた。

インターネットで調べてみたら、郵貯のセキュリティレベルアップキャンペーンに当選したことが分かった。http://www.jp-bank.japanpost.jp/direct/pc/drnews/2014/drnews_id000053.html

1,000円を利息と考えると、郵便貯金に350万円ほど預けて1年間で得られる利息と同じだからちょっとしたプレゼントである。珍しい「不思議の入り」である。

私は我々一般人の財布には「入りに不思議の入りなく、出に不思議の出あり」という格言が当てはまると考えている。今格言といったが、これは「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という格言をもじって作った言葉なので、世間に流布しているかどうかは知らない。

サラリーマンやその延長線の年金生活者にとって収入は限られている。宝くじや大きな馬券が当たることはあるかもしれないが、統計的な期待値は投入額よりかなり低い。つまり胴元が儲かるようになっているのだ。株式投資で儲かることがあるが、期待値はそれほど高くない。「不思議に儲かったな」と思うことがあるが、大概の場合はその裏で損をした金額のことを忘れているのである。

一方出費は不測に起こる。大雪などの自然災害で建物の一部が壊れる。乗っていた電車が事故で立ち往生し、予約している新幹線や飛行機に間に合わなくなるので、降りて新幹線の駅や飛行場までタクシーを飛ばす等々不測の出費、不思議の出費の例は枚挙にいとまがない。

人生とは確実な収入に頼りながら、不確実な出費の海を渡るようなものである。この不確実な出費を抑える方法はあるのだろうか?

一つは保険を使って不確実な出費を保険金の支払いという確実な出費に替える方法がある。もう一つは列車や便が特定されいて変更の融通が利かない格安チケットの利用を再考することだろう。安さは融通のなさの代償である。

高々1000円の「不思議の入り」から色々なことを考えてしまった。そういえばパソコンなどのセキュリティにコストをかけておくことも不測の出費を確実の出費に替えておく方法なのだ。

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クリミア編入がベネチアに飛び火?

2014年03月22日 | ニュース

昨日(3月21日)ロシアのプーチン大統領はクリミアとセバストポリをロシアに編入する手続きを完了する法に署名した。

この動きが飛び火したのかどうかは分らないが、同日イタリアのベネト州の独立の賛否を問うネット投票が締め切られ、時事通信によると投票を企画したグループは住民の89%が独立に賛成したと発表している。

ベネト州の州都はベネチア。2007年からベネト州の独立運動を推進しているイタリアのある大学教授によると1797年にナポレオンによりイタリアに併合されるまでベネチアは1,100年間独立を保ってきた。今は再び小さいけれど繁繁栄する小国に戻る好機だと述べている。

ベネチアがイタリアからの独立を望む大きな理由は税金の問題だ。フランスの通信社によると、イタリアはベネチアから毎年710億ユーロの税収を得ているが、ベネチアに公共投資や行政サービスの形で還付している金額はそれよりも210億ユーロ少ないそうだ。だからベネチアがイタリアから独立すると、もっと自分たちの税金を自分たちで使えることになる。

欧州の中で独立の希望を持っているのは、ベネチアだけではない。スペインのカタロニア地方(州都はバルセロナ)やイギリスのスコットランドも以前から独立を希望している。

もっとも専門家はクリミアのケースとベネチアやカタロニアなどのケースは全く異なると指摘している。クリミアの場合は、多数の住民はウクライナ語を話さずロシア語を話すことや、クリミアがウクライナに帰属した経緯(フルシチョフが決めた)などからして、クリミアのストーリーを他の欧州の独立問題に当てはめることはできないという指摘だ。

ベネチアの独立投票に関するイタリア国内のメディアの関心はあまり高くない。住民投票による地方自治体の分離・独立は憲法に違反する可能性が高いからだ。

またイタリアにしろ、スペインにしろリーマンショック後の欧州危機の震源地だ。その震源地の中で相対的に裕福な地域が分離・独立すると残された地域の財政はますます悪化するので、それぞれの国家や欧州連合がこの時期地方自治体の分離・独立を容認するとは全く考えられない。

しかしながら、次の二つのことは頭に入れておきたいと私は考えている。

一つは欧州の中には色々な意見があり、クリミアのウクライナからの分離を支持する意見もある(少数だろうが)ということだ。

もう一つは今後地域格差、特に経済成長力のある大都市圏が経済力の弱い地方を支えることを忌避するため分離・独立を模索する可能性が高いということだ。

これは欧州に限った話ではない。たとえば中国でも起きうる話。ただし共産党の支配力が強い中国では当面の実現性はないと思うが。今世界的に起きている巨大都市圏への人口と経済力の集中という現象は、巨大都市圏の独立という潜在的な運動力を持っていると私は感じている。

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