金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプラリーの勝ち組、ナスダック6,000ポイントを超える

2017年04月26日 | 投資

昨日(4月25日)は、地政学的なリスクの低下やトランプ大統領の減税プランが発表されると予想を受けて、米国株は続伸した。

ナスダックは41.67ポイント(0.7%)上昇して、6,025.49ポイントで引けた。

ナスダックは2000年に5,000ポイントの大台を超えてから、ドットコムバブルの崩壊、リーマンショックという大きな谷を経験して17年かかって大台を更新した。

トランプ大統領就任以来の株高の立役者は、ハイテク銘柄だった。大統領選挙以降株価全体は5%上昇しているが、セクター別でみるとハイテクが11%、公共財・消費必需品が7%上昇、エネルギー関連は8%の下落とパフォーマンスにはかなり差がある。

ナスダックの株価上昇をけん引しているのは、アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブックなどのハイテク株で、アップル、アマゾン、フェイスブックの株価は20%以上、グーグルのそれは12%今年に入って上昇している。

トランプラリーを享受できたかどうかはこれらの銘柄を持っていたかどうかに大きくかかわっている。

ナスダック市場の過去1年間の利益に対するバリュエーションは約28倍。高いと言えば高いが2000年に5,000ポイントを越えた時のバリュエーションが69倍だったことに較べると比較的静かな大台更新ともいえるのだはないだろうか?

日本では「貯蓄から投資」と掛け声がかけられて久しいが、大量の個人資金は預金に滞留したまま残っている。

投資信託に向かう資金は高配当を掲げるファンドに流れているようだが(最近は多少変わっているそうだが)、長期投資の観点からは間違っていると私は思う。

私は株屋さんではないので、ハイテク銘柄を買えなどとお薦めはしないが、株式投資を通じて経済成長の分け前を共有すると考えるなら、アップル、グーグル(アルファベット)、アマゾンといった成長銘柄をポートフォリオに組み込むべきである。

「投資から貯蓄」という掛け声の裏には、日本株を購入させようとか金融機関の窓口で売りやすい(そして金融機関の儲けにつながる)商品を販売しようとする意図が垣間見える。

小さな池で小魚を取り合いするより、海に出るともっと大きな魚を釣り上げることができる可能性があると私は思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮、米空母撃沈の用意ありと虚勢

2017年04月24日 | ニュース

今朝(4月24日)気になっていたフランス大統領選挙の様子をテレビでみると、中道左派のマクロン候補と極右のルペン候補が決選投票に進む見込みと報じられていた。決選投票ではマクロン候補の優位が伝えられているので、今朝のオセアニア市場ではユーロは5ヵ月ぶりの高値で取引されている。

もう少し詳しく知りたいと思い、Reuterを見るとその時点での一番読まれていたのは北朝鮮の労働新聞(労働党の機関紙)が「北朝鮮の人民解放軍は米空母を一撃で撃沈できる準備をしている」と報じている記事だった。

これは無論虚勢である。米空母がどこにいるかを正確に把握できない限り仮に中距離弾道弾を実装しても攻撃することは不可能だからだ。北朝鮮には米空母を捕捉する能力はない。

これは日本時間のきょう午前中に予定されいるという米中首脳電話会談などに対するブラーフであろう。

一方朝鮮半島方面に向かっていると言われているカールビンソンを旗艦とする空母打撃群も軍事的に北朝鮮を制圧するには力不足と言われている。軍事攻撃には後数隻の空母が必要だろうと軍事評論家は述べている。

ということで今のところ戦端が開かれる可能性は低そうだが、北朝鮮は米空母打撃群が増強される前に「核実験」を強行する可能性があるかもしれない。常識的には「核実験」を強行する代わりに何らかの外交的解決が模索されるだろうと期待したいところだが・・・

フランス大統領選は座り心地の良いところに落ち着きそうだが、北朝鮮については見通し不明。

しかし歴史を振り返ると自国民に対して自国の戦闘能力を過大に喧伝し続けた結果、引くに引けない状況に陥り、開戦に追い込まれたというケースもある。

孫子は「兵は詭道(戦争は騙しあい)」であり「戦闘能力があってもないように相手に思わせ油断を誘うべきものだ」と述べている。虚勢は見透かされるとおしまいだ。

因みに孫子は「城を攻めるのは下策で心を攻めるのが上策だ」と教えている。軍事力の行使はお互いに傷つき、経済基盤を破壊して得るところが乏しい。心を攻めて武力を行使せずに相手を屈服させるのが上策だという教えだ。ただしこれは相手が自分の軍事力と相手の軍事力を冷静に見積もり合理的な判断を下すことができる場合に成り立つ戦略であり、相手が捨て鉢の場合は成り立たないと思われる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム】Brick-and-Mortar 米国で小売店舗の閉鎖が加速

2017年04月23日 | 英語・経済

Brick-and-Mortarは直訳すると「レンガとモルタル(セメント)」であり、Brick-and-Mortar Storeというとレンガとモルタルでできた店舗ということになるが、現在ではオンラインショップに対する店舗販売(を行う会社)を指す。

米国で小売業の販売店が凄まじい勢いで閉鎖に追い込まれているという記事がWSJにでていた。原題はBrick-and-Mortar sotres are shuttering at a record pace.サブタイトルはYears of overbuilding and rise of online shopping have come to a head.である。

「小売店舗の建設過剰とオンラインショップの台頭で店舗販売の破たんの機が熟している。」という意味だ。Come to a headのheadは「頭」であるが、腫物という意味もある。Come to a headというと「腫物が膿んで口が開きそうになる」「土壇場に来る」という意味だ。

記事によると年初来2,880店舗が閉鎖に追い込まれた。このペースで閉鎖が進むと年間では8,600に達し、リーマンショック後の6千店舗の閉鎖を上回り史上最高にまりそうだ。

記事によると、小売店の建設過剰の原因は約30年前の消費景気とイージーマネーに煽られて、小売業者が開店ラッシュに走ったことにある。つまり小売店建設バブルだった訳だ。同時期に米国では住宅バブルが発生していたが、そちらは既に破裂している。その小売店バブルの崩壊が始まったということだ。

オンラインショッピングは本から始まった。手に取ってみたり試着することが好まれる衣料品などでは、実店舗の商売にも存在意義があると考えられていたが、オンライン店舗の「無料お取替えサービス」などに押されて店舗販売は縮小する一方だ。

★   ★   ★

アメリカで起きた経済現象はあるタイムラグをもって日本でもおきる。小売業の閉店については人口減少が進んでいる日本の方がもっと進みそうだが、日本では商売が成り立っているのかどうか疑問の店でも開いている場合がある。これは税制等が影響しているのかもしれない。

しかし経済的にみて非合理的な活動はいずれ終焉を迎える。不動産に係るバブルの崩壊という意味では日本の場合は今起きているアパート建築バブルの崩壊の方を懸念するべきかもしれないが。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム】Runoff フランス大統領選、誰が決選投票に進むか?

2017年04月22日 | 英語・経済

今週末(4月23日)に行われるフランス大統領選挙の結果を市場はかたずを飲んで見守っている。フランス大統領選挙は2回行われる。正確にいうと2回行われる可能性がある。初回の選挙(今回は4月23日)で過半数以上の得票を得た候補者が選ばれると大統領が決まるが、過半数以上の得票を得た候補者がいない場合は決選投票が行われる。

決選投票は英語ではRunoffだ。フランス大統領選挙の「2回投票制」Two-Round electral systemは1回の選挙で極右・極左など極端な候補が大統領に選ばれることを避けるために導入されたシステムだそうだが、1965年に導入されて以来毎回一度で大統領が決まることはなく、決選投票が行われている。

そして今回も決選投票が行われる可能性が極めて高い。

少し前の世論調査では、極右政党「国民戦線」のルペン党首と中道左派のマクロン候補が各々25%の支持率を得ていて、この二人が決選投票に進み、決選投票ではマクロン候補が勝つと予想されていた。

WSJはAccording to polls, Ms. Le Pen is currently neck and neck with centrist Emmanuel Macron with around 25% of the vote each.と述べている。Neck to neckは「互角の勝負」という意味だ。

ただしここに来て労働時間の短縮や定年年齢の引き下げ(66歳から60歳へ)を主張する極左のメランション候補の支持率が上昇しているとも言われているので、中道派のマクロン候補やフィヨン候補が初回の選挙に負けて、極右対極左の決選投票になる可能性も否定できないそうだ。

英国のEU離脱や米国大統領選挙でトランプ大統領の勝利を予想できなかったことで、投資家はあまり世論調査に信頼を置くことができなくなっている。

今確実なことはフランス大統領選挙が決選投票に進むということ位だろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【イディオム】Complacent アメリカ人も自己満足で日欧の後を追う

2017年04月20日 | 英語・経済

WSJに経済学者タイラー・コーエン教授(ジョージ・メイソン大学)とのインタビュー記事が出ていた。コーエン教授の新著The Copmlacent Classに関する内容だ。

記事によると教授はアメリカ人はcomplacent(自己満足)に陥っているという。Complacent(自己満足)という言葉は批判的・軽蔑的なニュアンスを伴う。「教授は自己満足を批判的な意味で使っていない」というが、その後「低所得者層を見ると自宅に閉じこもり、多くの人は結婚しようとせず、自宅や車を持とうと考えず、ビデオゲーム・ポルノ映像・マリファナに多くの時間を過ごしている。私にはそれらは自己満足の兆候に見える」と続けているので、常識的な見方をすると批判的に見ていると思うのだが・・・

ではなぜ「自己満足」が問題なのか?

教授は自己満足に陥ることで、労働生産性が低下していることだ(昨年は労働生産性の成長率がマイナスになった)と指摘する。仮に貯蓄率が高く、負債比率が低ければ、労働生産性が低くてもそれほど問題にはならないが、現実は逆なので後々苦労することになるという。

WSJの記者は教授に「多くの面でアメリカは世界で一番生産性が高く、革新的な経済活動をしている。自己満足に向かうのは世界的な現象なのか?アメリカは異常値なのか?」と質問する。

教授の答は「日本は自己満足のパイオニアで、大部分の西欧諸国は我々より自己満足的である。しかし私はアメリカも彼らの足跡をたどっていると思う。そしてそのペースは以前考えていたより早いだろう」

WSJの記者の「何がアメリカを再びダイナミックな国に復活させると思うか?」という質問に対し、教授は「リスクテイク・新規事業・規制緩和などが可能な手段。しかし現実的に財政債務危機(ただし可能性は低い)・外交政策の危機・政党の一貫性の欠如といったガバナンスの問題がダイナミズムを復活させる要因になる考えている」と答えていた。

高レベルの政府債務・外交政策の危機・政党が掲げる政策の一貫性の欠如という面でも日本はパイオニアだが、その結果自己満足という罠から脱却しようとしているとは思えない。むしろ不都合な現実から目を背けて益々自己満足の穴に閉じこもろうとしているのではないだろうか?

コーヘン教授はなぜアメリカはそれらの危機をターニングポイントにできると考えているのかもう少し知りたいところだが、それは自著を読んでくださいということのようだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする