先日山仲間と兵庫県の氷ノ山や「日本のマチュピチュ」竹田城、姫路城などを巡る旅をした。
コアメンバーは元の職場の山仲間だが、仲間の同級生や知人など男女合わせて11名のツアーとなった。初対面の人も数名いたがすぐに打ち解けとても楽しい登山と旅行になった。
会社員、特に男性会社員にとっては会社に勤めている時は遊びに行く時も会社の仲間と一緒ということが多かったのではないだろうか?古いところでは社員旅行であり、最近でも続いているのはゴルフコンペだろう。
会社のつながりというのは、「強いつながり」の典型だ。一方社外の勉強会やテニスクラブなど趣味の仲間の繋がりは「弱いつながり」だ。私たちの山の会もこの「弱いつながり」でつながっている。
「弱いつながり」のような人間関係はアテにならないと思う人が多いかもしれないが、実はそんなことはない。
「弱いつながりの強さ(Strength of Weak Ties)」を書いた社会学者マーク・グラノヴェターが、知人を通じて新しい仕事を見つけた人の割合を調べたところ、「強いつながり」の知人経由は17%で「弱いつながり」の知人経由は83%だった。
つまり「弱いつながり」の仲間は意外に頼りになるのである。
シニア生活を送るようになると新しく仕事を探すことは少なくなるだろうが、趣味や旅行あるいは健康問題や相続問題などで詳しい人のアドバイスを欲しいと思うことはあるだろう。そんな時「弱いつながり」の仲間は頼りになる。何故なら「弱いつながり」は職業・年齢・性別・趣味などが異なる人とのつながりなので新しい情報を得ることができるし、つながりが弱いので遠くまで情報を伝えることができるからだ。
また「弱いつながり」の仲間との付き合いを私は楽しいと感じている。何故なら「弱いつながり」を維持していくには規律や心地よい緊張感があるからだ。会社仲間などとの「強いつながり」では、阿吽の呼吸とかこれ位は許されるだろうという甘えが多くなる。しかし「弱いつながり」では、論理的な説明力や自制心が必要になることはいうまでもない。
ビジネスパーソンであればこれらのことは経営セオリーとして学んできたはずだ。
たとえばコロンビア大学のリタ・マグレイス教授は「競争優位の終焉」(日経新聞出版社)の中で「企業が持続的競争優位性を維持できる時代は終わり、一時的競争優位性の時代になった。一時的競争優位性の時代では個人の新しい知識や外部とのネットワークが必要になる」と述べている。もしマグレイス教授の説が正しいとすれば、「弱いつながり」を構築してこなかった人は先端的なビジネスパーソンではないのかもしれない(無論業種により相当違いがある)。
セカンドライフは、第一の人生~多くの人間にとってはビジネス社会~と切り離されたところにあるのではない。より正確にいうと仲間内で甘えた生活を送ってきた人たちには切り離された世界かもしれないが、ビジネスの地平線を広げるために個人的なネットワークを拡大することに努めてきた人たちにとっては延長線上にあると考えて良いだろう、と私は考えている。