金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

来年が思ったよりも良い年になると予想する3つの理由

2020年12月24日 | 投資
 株式投資家というのは基本的に楽観的である。楽観的だから株を買うのか?買った株が上昇するから楽観的になるのか?それは分からないが。
 コロナウイルスの感染拡大が報じられる中でもワクチンの開発に期待を寄せ、ワクチン普及後の景気の急反発に期待を寄せるのも株式投資家のメンタリティーだ。年の瀬も自宅籠りで鬱々とした日を過ごす人が多いと思うが、投資の射程距離を1年先に置くと楽観的な風景が見えるだろう。
 WSJはThree Reasons 2021 could be better than you thinkという記事でワクチン普及後の景気回復が多くの人が考えるより早いと予想する3つの理由を挙げていた。
第1の理由は「現在の個人消費がファンダメンタルな消費水準の7%ほど
低いレベルに抑圧されている」ことだ。これはリーマンショックの時はかなり違う。リーマンショックの時は、個人消費が実力(ファンダメンタルな水準)と同等かやや上回るレベルだった。しかし今回は旅行や外食の自粛あるいは禁止等により消費が抑えられているが、一旦これらの制限が解除されると個人消費は急回復すると予想される。
第2の理由は「前例のない政策対応」である。アメリカでは今議会が可決した9千億ドルのコロナ対策支出について、トランプ大統領が少な過ぎるといって署名を渋っているところだが、もしこの支出が認められるとアメリカ政府は2月以降合計3兆5千億ドルのコロナ対策費を支出したことになる。これはGDP比較でみるとリーマンショック時の支出より大きくかつ集中的に行われている。また連銀は物価上昇率が2%に達し、失業率がコロナ以前のレベルに戻るまで超低金利政策を持続すると約束している。
第3の理由は「破産等のダメージを受けている人が少ない」ことである。一般に不況で失業率が上昇すると借金返済に苦しむ人の破産申請が増えるが、今回は返済猶予措置の導入などで破産者の急増が抑えられている。
 つまり徹底的に打ちのめされていないので、コロナ危機が去ると回復するのが早いと考えられる訳だ。
★   ★   ★
 一般的に日本人に較べるとアメリカ人は楽観的な人が多いと言われる。
 だからアメリカ人の個人資産に占める株式比率が高く、日本人の個人資産では預貯金が占める割合が高いのかもしれない。コロナウイルス騒動で明け暮れた1年だったが、株式投資を行っている人は概ね良好なパフォーマンスを上げた1年だったと思う。春先に狼狽売りをしていなければ、の条件は付くが。
 コロナに振り回された今年は投資家の「冷静さ」「リスク耐性」「勇気」「楽観性」などの気質が試された年でもあった。
そして「楽観的な人」が高いリターンを挙げることができた年であったと思う。そして長期的には「楽観的な人」の方が株式投資で高いパフォーマンスを上げることができる、と私は考えている。
 ただし、ひょっとすると年末の株価は既に「ワクチン普及によるコロナ封じ込め後のリカバリー」を既に相当織り込んでいる可能性が高い。だとすれば、株価の上昇率は今年の方が高いはずで、ひょっとすると来年の後半にはコレクションが起きるかもしれない。これは全く私の個人的な意見だが。
 
コメント
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