金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

デジタル化、役所はさて置き広告の世界では5割を超えた

2020年12月02日 | デジタル・インターネット
 昨日東京都は政府が設置したデジタル庁に合わせてデジタル局の設置を決め、来年4月には開局する予定だ。
 まあそれなりの速度感で進んでいるのだろうが、デジタル化でもっと早い速度で動いているのが広告の世界だ。
 WSJによると世界第一位の広告代理店WPP PLCのグループ会社のレポートは「今年初めて全米の広告費の半分以上がグーグルなどのデジタル広告に流れた」と述べていると発表した。
 3年前のデジタル広告のシェアは約1/3だったので、成長ぶりは目覚ましい。媒体別にみるとTVやラジオをシェアはあまり変わらず、デジタルは主に新聞そして次に雑誌のシェアを食いながら急成長を続けている。
 電通が今年1月に発表した世界の広告費予想によると、「世界のデジタル広告比率は2019年に43%、2020年に45.7%、2021年に48.3%と5割に迫る」となっている。WPPはアメリカ、電通は世界に着目したレポートなので単純比較はできないが、コロナが広告のデジタルシフトを加速していることは間違いない。
 広告のデジタルシフトでメリットを受けているのは、グーグル(シェア30%)、フェイスブック(22%程度)、アマゾン(10%)、マイクロソフト(4%程度)だ。直前四半期の広告収入の伸びを見るとグーグル10%、フェイスブック22%、アマゾン51%となっている。
 自宅籠りでPC、スマートフォンに向き合う時間が増えているから、広告主がデジタル広告にシフトするのは当然の成り行きだ。それにしても民に較べると官の行うことは速度感が乏しいですね。
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コロナ騒動が終わっても出張は最大36%減が永続する~米国での調査より

2020年12月02日 | 社会・経済
 WSJは「コロナ騒動が収束しても、ビジネストラベル(出張)は19%~36%の範囲で永久的に減少するだろう」という記事を掲載していた。
 まずこのような推測の根拠から紹介しよう。
 出張は目的から「セールス・顧客管理(約25%)」「テクニカルサポート(約20%)」「コンベンション・展示会(約20%)」「社内講習・研修(20%)」「通勤(5%)」等に分けることができる(合計が100%にならないが記事のとおりなのでご容赦を)。
 例えば「セールス・顧客管理」は対面の交渉が必要なので、コロナ騒動が収束すれば元の水準に戻ると見込まれる。
 一方社内講習・研修は、インターネットを利用したヴァーチャルな開催で成果を上げることがコロナ経験を通じて確認できたので、コロナが収束してもヴァーチャルに開催されることが多くなると予想される。またテクニカルサポートもかなりヴァーチャル化が可能だ。
 以上のように分析を進めた結果、この分析レポートは飛行機を使った出張は最低でも19%、最大では36%の範囲でコロナ騒動後も減少したまま戻らないと予想している。なお記事ではビジネストラベル=航空機を使った出張としているが、これはアメリカの実態にそった記事で、当然のことながら日本にそのまま当てはめることはできない。
 さて仮にビジネス客が3割も減るとどのようなことが起きるだろうか?
第一に航空会社の売上が落ちる。ビジネス客は世界的な航空会社の乗客の10%~15%を占めるが売上については約40%を占めている。バンクオブアメリカによると航空業界全体の1兆1千億ドルの収入の内30%に相当する3,340億ドルはビジネス客によるものだ。
第二にビジネス客の減少の影響は、一般旅行客にもマイナスの影響を及ぼす。何故かというと航空会社はビジネス客から相対的に高い料金を取っているので、エコノミーシートを安く販売することができた。エコノミーで旅行する一般旅行客は価格面でメリットを得ていた訳だが、ビジネス客が減ってくると航空会社は一般旅行客の航空運賃を引き上げようとすると考えられる。もっとも格安航空会社が頑張っている(アメリカでシェアは約2割)ので、実際はかなり難しいだろうが。そこでコスト削減のためにフライト数を減らすなどサービスの低下が起きることが想像される。
 記事はそれ以上の波及効果については言及していないが、旅行客の減少はホテルや飲食業にもダメージを与える。コロナウイルスがもたらす経済的なダメージはこの種の業種には長続きしそうである。
 
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バー司法長官、トランプが主張する大規模不正を否定

2020年12月02日 | ニュース
昨日(12月1日)米国のバー司法長官は、連保捜査当局等が大統領選について大規模な不正があったかどうかを操作したが、現時点で選挙結果に影響を与えるような不正は見当たらかったとAP通信に伝えた。
 wsjは以下のサブタイトル付でこの件を記事にしている。
Attorney general’s comments contradict President Trump, who pressed forward with legal challenges.
 「司法長官のコメントは法的異議申し立てを推し進めるトランプ大統領を否定する」
 contradictには「否定する。正しくないと言明する。矛盾する」などの意味があるのでどの訳をあてるかでニュアンスが変わるが、ここでは否定するとした。
 このニュースのポイントはバー司法長官は共和党員でトランプ大統領により長官に任命された親トランプだという点だ。親トランプだけれど司法長官として捜査結果を分析したところ、トランプが主張するような不正は見つからなかったと言っているのである。バー長官については過去にトランプ側近が訴訟された時に捜査を止めるように検察に圧力をかけたと取沙汰されたことがある(ただしその件について詳しく調べた訳ではないので論評は控える)。
 つまり一般的には親トランプで通っている人物でもさすがに証拠がない疑惑を事件にすることはできなかった訳で、トランプとしては手痛いダメージだ。

 なおトランプが主張する大規模不正について、日本人でツイッター等でトランプの主張が正しいという趣旨の意見を展開している人がいたが、私は何をもってそのような主張をするのか疑問に思っていた。
 アメリカは訴訟の国である。訴訟の国という意味は、自分の権利が侵害されていると思った人は十分な証拠を持っていなくても、証拠開示を求めて訴訟を起こす権利があるという意味だ。
 そういう点でトランプは誠にアメリカ人らしいアメリカ人といえる。だがトランプが主張したからといって、その主張が正しいと思ってしまう人はトランプファンか短絡的な人であろう。
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